1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05740516
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
恵良田 眞由美 筑波大学, 生物科学系, 助手 (30221815)
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Keywords | クリプト藻 / 走光性 / 作用スぺクトル / フィコビリン色素 / 眼点 / 微細構造 |
Research Abstract |
フィコビリン色素組成および細胞構造の異なるクリプト藻5属6種について細胞個体レベルで光運動反応特性を解析し、従来より論議されてきた光受容体とフィコビリン色素との関連を考察するとともに、主として形態上のデータと比較することにより、系統・分類学的側面からの検討を行った。結果は以下の通りである: 1.Chroomonas nordstedtiiは顕著な正の走光性を示し、その極大は560nm付近で、以前調査されたクリプトモナス属2種と非常によく似た走光性作用スペクトルが得られた。したがって、これら3種のクリプト藻においては走光性に関与する光受容系の分光特性は普遍的であり、その光受容体は560nm付近に吸収極大をもつ物質である可能性が強く示唆された。また予備実験の結果Cryptomonas platyurisとRhodomonas salinaもおそらく同様の反応特性をもつと考えられる。一方、これら3属でフィコビリン色素組成がお互いに異なることを考慮すると、クリプト藻の走光性の光受容体がフィコビリン色素である可能性は極めて低いと結論される。 2.Chroomonas coeruleaは上述のCh.nordstedtiiと同一のフィコビリン色素を有するが、420nm付近に作用極大をもつ負の走光性を示し、その光受容体系は前3種とは全く異なっていた。本種は調査したクリプト藻のうち唯一眼点をもつことから、この違いには眼点が何らかの形で関与していると推測される。 3.Chilomonas parameciumは全く光に反応しなかった。このことは本属が葉緑体を持たない点を除いて形態上クリプトモナス属に非常に近縁であるとみなされることを考え合わせると、非常に興味深い。 4.Hemiselmis virescensでは刺激光のオン・オフにより運動・静止が切り替えられるという他属では見られない現象が観察された。このことは、形態的特徴とともに、本属のクリプト藻内での系統的な特殊性を示唆する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mayumi Erata: "Action spectra for phototaxis in two genera of cryptomonads." Abstracts for the XV International Botanical Congress. 215- (1993)
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[Publications] 恵良田眞由美,堀輝三編: "藻類の生活史集成第3巻単細胞性・鞭毛藻類" 内田老鶴圃, 313 (1993)