1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05750803
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
折橋 裕治 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (90202001)
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Keywords | 蒸着光重合 / 分子配向 / オクタデシルアクリレート / オクタデシルメタクリレート / ATR-IRスペクトル |
Research Abstract |
我々付加重合系における蒸着重合においてその分子配向制御と重合性に関する知見を得るため、典型的な櫛形高分子を形成し、また主鎖はフレキシブルであるがアルキル側鎖が結晶化する事が知られているビニル系長鎖アルキル化合物であるオクタデシルアクリレート及びオクタデシルメタクリレートの蒸着膜を作製し、その分子配向と光重合性について検討すると共に、光を照射しながら蒸着を行う蒸着光重合について整理した。 1.オクタデシルアクリレート分子は本研究で用いたZnSe及びNaCl結晶上基板温度-10〜15℃のいずれにおいてもhexagonal packingに結晶化していることがIRスペクトルより明かとなった。この結晶系においては分子は分子軸周りに自由な回転運動が許されるため、UV光照射において重合が進行しその重合率は照射時の基板温度の上昇にともない増加した。一方、オクタデシルメタクリレートは両結晶上共-3℃以下ではtriclinic packingとなり回転が抑制されるため重合は進行しない。高い基板温度ではhexagonal packingをとり、オクタデシルアクリレートと同様な挙動を示した。 2.蒸着光重合において得られる薄膜中の高分子の分率は、オクタデシルアクリレート、タクリレート共に基板温度の上昇に伴い増加し、その高分子収率は単分子膜作製後の光重合に比べ3〜5倍高い。これは蒸着中基板表面での分子のマイグレーションが重合性に大きく寄与しているためと考えられた。 3.偏光FT-ATR-IRスペクトル測定より、膜中の分子の特性吸収についてその遷移モーメントと基板法線とのなす角を求め、それらよりアルキル側鎖の配向を評価した。アルキル側鎖は基板に対し垂直配向であり、基板温度上昇に伴いその基板法線となす角は徐々に大きくなる。高分子においては主鎖から数個のメチレン鎖はアモルファス状態であることから、高分子化によりアルキル側鎖の配向が乱された結果と考えられた。
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