1993 Fiscal Year Annual Research Report
分子間相互作用を考慮した温度転移形液晶性高分子材料の合成と構造制御に関する研究
Project/Area Number |
05750808
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
氏家 誠司 東京理科大学, 理学部・化学科, 助手 (40185004)
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Keywords | 液晶性高分子 / 温度転移形 / イオン相互作用 / 水素結合 / 液晶形成能 / 構造制御 |
Research Abstract |
本研究では、水素結合およびイオン相互作用などの分子間相互作用を液晶の構造制御に利用するための研究を行った。水素結合性およびイオン性の原子団を構成基として有する液晶性高分子およびモデル低分子液晶を合成し、それらの熱的性質および配向構造について検討した。本研究で得られた研究成果を下記に記述する。15EA02:(1)イオン性原子団と芳香族系液晶形成基が連結したモデル低分子液晶では、液晶形成基間の相互作用のほか、イオン相互作用と水素結合の2種の複合的作用によって液晶形成能および自発的均一配向の形成能がいっそう向上する。 (2)ポリアミン鎖を骨格主鎖として有するノニオン性側鎖型液晶性高分子は単層構造をもつスメクティックA相を形成するが、ノニオン性側鎖型液晶性高分子をアンモニウム化して得られるイオン性側鎖型液晶性高分子はクーロン力によるイオン性骨格主鎖の凝集によって二層構造をもつスメクティックA相を形成する。この研究成果は、カチオン基およびアニオン基の凝集作用を利用することによってスメクティック相の配向構造を制御できることを明らかにしている。 (3)アキラルなスメクティックC*液晶分子とキラルなカルボン酸系非液晶性原子団(酒石酸)のイオンコンプレックス化によってカチオン性液晶基と光学活性な酒石酸アニオン基より構成されるイオン性液晶を形成させ、強誘電性相であるキラルスメクティックC*相を発現させうることを見いだした。 (4)イオンコンプレックス化によってつくったポリアニオンと液晶性カチオン基の液晶性高分子複合体は、ポリアニオンによる高分子性と液晶性カチオン基の液晶性が複合された特性を示した。この研究成果と(3)の研究成果から、イオンコンプレックス化を利用することによってさまざまな原子団を複合することができ、液晶の構造制御と機能化が可能であることを明らかにしている。
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