1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05760250
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Research Institution | Institute for Animal Reproduction |
Principal Investigator |
真田 靖幸 (財)動物繁殖研究所, 第四研究部, 研究員 (60249977)
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Keywords | ラット / 周産期 / 免疫グロブリン / リンパ球幼若化能 / マイト-ゲン |
Research Abstract |
ラットの周産期における免疫学的背景を把握するため、SD系,Wistar系雌ラットを用いて妊娠後7日目(P7),P14,P21,哺乳後1日目(L1),L3,L7およびL14の各時期に採血,解剖を行い、一般血液学的検査,血中免疫グロブリン(Ig)濃度および末梢血リンパ球幼若化能の検討を行った。また、免疫関連臓器の病理組織学的検索も併せて行った。対照動物として、10および15週齡の非妊娠ラットを用いた。その成績は以下の通りである。 赤血球関連項目(RBC,HGBおよびHCT)の値は妊娠後漸次減少し、L1で最低値を示したが、その後増加した。WBCはL1で急激に増加し、L3で最大値(130.6×10^2/mm^3)を示した後速やかに減少した。WBCの増加は好中球が主体であった。リンパ球幼若化能は、各マイト-ゲン(PHA,Con,A,PWMおよびLPS)ともに妊娠後低下し、P21で最低値(SI値<1.0)を示し、その後漸次上昇した。このことから、周産期におけるリンパ球機能は妊娠末期を中心に低下傾向にある事が明らかとなった。血中Ig濃度は、IgGでP21〜L1に一過性の低下が認められた。これは妊娠末期におけるIgGの急激な乳汁中への移行と、それに伴う分娩後の哺乳によるものと考えられた。IgA濃度は周産期を通して高値を維持しており、特にL7〜L14で顕著であった。IgM濃度はP14〜L3の時期に高値を示した。これらのことは、胎盤を介しての胎児へのIg移行または、乳汁中へのIg移行が、各クラスでその時期と程度に差異があることを示しているものと思われる。各臓器における病理学的検査では、肝臓が周産期中有意に増量していたが、組織学的変化は認められなかった。
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