1993 Fiscal Year Annual Research Report
物理的、化学的処理による低質スギ材の楽器響板用材への変換
Project/Area Number |
05760255
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
矢野 浩之 京都府立大学, 農学部, 講師 (80192392)
|
Keywords | スギ / 化学的処理 / 物理的処理 / 音響的性質 / 楽器響板用木材 / 低分子量フェノール樹脂処理 / 圧密化 / クラッシクギタ- |
Research Abstract |
種々の振動特性を有する低比重音響材料を、スギ一般材を出発点として設計するための基礎的データを得ることを目的とし、ベニヤ製造工程での音響特性変化、積層板製造工程での含浸樹脂濃度、接着剤塗布量、圧締圧力の音響特性ならびに寸法安定性への影響について明らかにした。実験には、26年生、胸高直径25cmのスギ2個体(気乾比重0.297〜0.351)および80年生、胸高直径45cmのスギ1個体(気乾比重0.330)を用いた。ロータリーレースにより、厚さ2mmの連続単板を得た。外周側から連続して幅40mm、長さ250mmの繊維方向試料(ベニヤ試料)を、また、繊維方向に連続して幅50mm、長さ170mmの接線方向試料を得て、これに、1〜10%濃度の低分子量フェノール樹脂を含浸した。風乾後、2枚の試料を、フェノール樹脂接着剤あるいはイソシアネート系接着剤を用いて、積層、熱圧(170℃、15分、3〜30kg/cm^2)した。得られた結果は以下の通りである。 1)ロータリーレース時に生じる裏割れの影響により、繊維方向比動的ヤング率は、24.24〜47。5%減少、繊維方向tandeltaは45.7〜95.3%増大することが推測された。 2)接着剤の種類によらず、含浸濃度5%、圧締圧力5kg/cm^2、接着剤塗布量100g/m^2の範囲では、楽器響板用ドイツトウヒ材の比重を下回る積層材を製造できた。 3)樹脂含浸により、積層材繊維方向試料は、音響特性に及ぼす裏割れの影響が消失し、樹脂含浸後の無欠点試料とほぼ等しい比動的ヤング率ならびにtandeltaを示した。 4)積層材接線方向では、樹脂含浸および接着剤塗布の効果により、ドイツトウヒ材を下回る比重範囲で、無欠点無処理試料と同等のtandeltaが得られたが、比動的ヤング率は、無欠点試料の値を下回った。
|
Research Products
(1 results)