1993 Fiscal Year Annual Research Report
肺における感染防御関連タンパク質(SP-AおよびSP-D)代謝に及ぼす運動の影響
Project/Area Number |
05770040
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
村田 芳久 北海道教育大学, 教育学部・旭川校, 助教授 (20239536)
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Keywords | 肺サーファクタントタンパク質 / 肺サーファクタントタンパク質D / 自発ランニング運動 |
Research Abstract |
本研究では、肺において感染防御の一端を担うと考えられている肺サーファクタントタンパク質(SP-A,SP-D)の肺胞腔への分泌および肺組織内の貯蔵量に対する自発ランニング運動の影響を検討した。 ラットを運動群と対照群に分け、運動群に水車式回転カゴによる自発ランニング運動を13週間行わせた。飼育最終日に、麻酔下で屠殺後、肺を緩衝液で洗浄して肺胞洗浄液を回収した。肺胞洗浄液および肺組織ホモジネート中のSP-AおよびSP-D量は、酵素標識免疫定量法(ELISA)により測定した。 13週間の自発ランニング運動により、肺胞洗浄液中のSP-A量(対照群:94±14mug/g tissue,運動群:114±17mug/g tissue)およびSP-D量(対照群:13.0±3.1mug/g tissue,運動群:15.8±2.5mug/g tissue)が増加した。肺胞洗浄後の肺組織内のSP-A量(対照群:29±4.4mug/g tissue,運動群:24±4.7mug/g tissue)およびSP-D量(対照群:2.3±0.38mug/g tissue,運動群:2.7±0.46mug/g tissue)も増加する傾向にあった。このことから、自発ランニング運動のトレーニングは、肺胞II型細胞によるSP-AおよびSP-Dの肺胞腔への分泌を促進、あるいは、肺胞腔でのSP-AおよびSP-Dの除去および再利用を抑制すると考えられる。また、研究データは運動トレーニングが肺胞II型細胞によるSP-AおよびSP-Dの合成も高める可能性を示している。本研究結果は、継続的な運動が肺胞内における生体防御機構の一端を向上させる効果があることを強く示唆するものである。今後、運動による肺サーファクタントタンパク質の増加のメカニズムの一端を明らかにするために、肺サーファクタントタンパク質の除去機構に異常をきたした珪肺症ラットと比較して、検討する予定である。
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