1993 Fiscal Year Annual Research Report
中高年齢者のタイプA行動特性と自律神経バランスに関する基礎的、応用的研究
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05770254
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
鎌田 豊彦 産業医科大学, 医学部, 助手 (20248595)
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Keywords | タイプA行動パターン / 心拍変動性 / パワースペクトル解析 |
Research Abstract |
近年、日本人の死因の中で心臓病の占める割合が著しく増加している。これは我が国において急激な都市化、文明化、高度情報化の進展に伴い、社会的環境が非常に多くのストレスを生み出していることに起因する、と考えられている。また、それに伴いタイプA行動と呼ばれる冠状動脈性心疾患を発病しやすい行動パターンが注目されている。このタイプAという概念はアメリカの中高年齢者において確立された者であるゆえ、本研究では中高年齢男性の行動特性と自律神経バランスの関連を特に心拍変動性を指標として検討した。対象は、タイプA6名(平均年齢41.7±4.2才)とタイプB5名(平均年齢44.2±6.6才)であり、タイプ判定は構造化面接に準じた面接を実施し決定した。各対象者に対して、実験室内で仰臥位安静30分させた後に、15分間の安静時データを記録した。測定項目は、心電図、連続血圧、呼吸であった。データは、データレコーダーによる磁気記録を行い、オフライン解析した。心電図はA/D変換した後、最大エントロピー法によるスペクトル解析を行い、LF成分とHF成分の中心周波数とパワーを求めた。また、自律神経バランスの指標とされるLF/HF比を計算した。その結果、タイプB群では、LF/HF比は2.0±0.5であったのに対して、タイプA群では、3.1±1.3と自律神経バランスは交感神経系優位な状況を呈していた。しかしながら、現時点では被験者数が不足しているため、有意の差を認めるには到らなかった。今後、被験者数を増やすと共に、本研究のもう一つの課題である応用的研究として、現場の頭脳労働者の自律神経系の変動を捉えること研究を実施したい。
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