1993 Fiscal Year Annual Research Report
毛根部のない毛髪を用いたDNAタイピング-HLADQA1および性別判定-
Project/Area Number |
05770305
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
玉城 尚 琉球大学, 医学部, 助手 (60244315)
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Keywords | 毛髪 / DNAタイピング / PCR / HLA-DQA1 / メラニン |
Research Abstract |
1本の毛髪、しかも毛根部のない試料を用いてDNAタイピングを行う目的で、毛幹部からのDNA抽出方法を検討した。研究計画に記載した方法、即ち毛髪を圧挫して緩衝液に浮遊させ、95℃加熱、氷冷を2回繰り返し、エーテル抽出により脂溶性の夾雑物を除去した後、エタノール沈殿にてDNAを調製する方法では、充分量のDNAが抽出されず、HLA-DQA1遺伝子型判定ならびに性別判定ともに不可能であった。そこで、Higuchiらの方法によって、proteinaseKを用いてDNAを抽出する方法を試みた。この方法で抽出したDNAを使用して、性別判定用のプライマーでPCRを行った後、電気泳動し、エチジウムブロマイド染色した。その結果、明瞭なバンドは確認されず、性別判定は不可能であった。しかし、HLA-DQA1のプライマーを用いてPCRを行い、逆ブロットハイブリダイゼーションすると、HLA-DQA1の遺伝子型判定が可能な場合があった。HLA-DQA1遺伝子型は、性別よりも高感度で検出できる場合が多かったが、常に正確な判断ができるとはいい難かった。これは、この方法であっても、抽出されるDNA量が少なすぎるためと思慮される。DNAの分解をより抑えるために、抽出温度を室温・37℃及び55℃として検討した結果、抽出温度が高いほど抽出液が黒褐色を呈し、メラニンが混入してくることが判った。これを用いてPCRしたところ、メラニンのPCR反応阻害が著明であり、DNA増幅がなされなかった。そこで、吉井らの方法によって水溶性メラニンの簡便除去法を行った後PCRした結果、PCR反応阻害はなくなったが、上記同様、常に正確な判定ができる程のDNA量を得ることができなかった。PCRの増幅回数を30回から50回に増加した場合でも、型判定の正確度を高めることはできなかった。今後、プライマー及びPCRの反応条件を再検討したい。
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