1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05770359
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
加藤 正人 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (00233817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅原 香 京都府立医科大学, 医学部
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Keywords | 膵臓 / 神経支配 / 迷走神経 / コレラトキシンBサブユニット / nitric oxide synthase / NADPH-diaphorase |
Research Abstract |
1.迷走神経背側核から膵及び十二指腸に投射された神経の相関について 逆行性神経標識物質であるcholera toxin B subunitおよび1、1'-Dioctadecy1-3、3、3',3'-tetramethylindo carbocyanine perchlorate(Dil)をラットの膵(十二指腸葉)または胃に注入して、迷走神経背側核(DMV)から各部位への投射を検討した。当初、膵へのDMVからの神経投射が比較的多数見られたため(日本消化器病学会第34回大会にて報告)、一つの神経細胞が膵と消化管(十二指腸・胃)へ分布するのではないかと推察し、今回の実験を行ったが、両者を同時に支配する神経細胞は認めなかった。 2.Nitric oxide(NO)との関係 NOの合成酵素であるNitric oxide synthase(NOS)が中枢および末梢神経に存在し、NOがneurotransmitterとして作用していることが最近注目されている。NOS活性を検討する手段としてNADPH-diaphorase組織化学が一般に用いられている。中枢神経ではHopeらによってそれらが一致することがしめされているが、末梢神経では検討が必要である。今回、ラットおよびイヌの膵・十二指腸のNOS陽性構造の分布について抗NOS抗体を用いた免疫組織化学とNADPH-diaphorase組織化学による検討をおこなった。膵・十二指腸において,これらの活性は血管内皮および血管周囲や膵管周囲の神経線維、腺房やラ氏島に分布する神経線維、膵内や腸管の神経節に認められ、NOS活性とNADPH-diaphorase活性は完全に一致していた。しかし、ラットでは、腺房に比してラ氏島にNOS陽性神経が多く分布しており、ラ氏島の細胞自身もNOS活性をもつなどイヌでは見られない特徴があり、膵内の神経節におけるNOS陽性のneuronの比率もイヌに比して多かった。イヌでは膵管周囲にきわめて豊富なNOS陽性神経の分布認めることが特徴的であった。このようにNOS陽性神経の分布には明らかに種差が認められ、NOS陽性神経の膵おける作用にも種差が存在することが示唆された(第24回膵臓病学会大会、第98回日本解剖学学会総会にて報告)。
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