1993 Fiscal Year Annual Research Report
クローン病病変部よりの上皮細胞間T細胞クローン樹立と特異抗原の決定実験動物モデルの作製と新たな治療法開発を目指して
Project/Area Number |
05770367
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 篤 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50218559)
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Keywords | クローン病 / 上皮細胞間リンパ球 / T細胞受容体 / Super antigen |
Research Abstract |
1.クローン病患者の腸管病変部では粘膜下層にマクロファージが集族しており、その多くでCD68などの活性化マーカーが陽性であることが組織学的に示された。 2.クローン病患者の回腸末端病変部より上皮間リンパ球(以下IEL)を分離し、28週から56週培養するとT細胞受容体Vbeta5.2を有するT細胞が有意に増加していた。 3.こうしてVbeta5.2陽性細胞を多く含むT細胞株が7株得られた。これらは高いgammaインターフェロン産生能とredirected cytotoxicity assayにおける高い細胞傷害活性とを有していた。(この結果より局所の活性化IELがgammaインターフェロンを介して1.のごとくマクロファージの集族、活性化を起こしていることが推定された。) 4.DynabeadsをもちいてT細胞クローンの作製を試みたが,腸管IELがlabileであるためか、クローン化には成功しなかった。 5.super antigenとして知られる各種Staphylococcal enterotoxin(以下SE)を、分離直後のIELに添加し、3H-Thymidine uptakeにより増殖活性を調べたところ、SEC1、SEDにより増殖活性が上昇することが判明した。またこの細胞群においてもVbeta5.2陽性細胞が増加していた。患者腸管内容の影響に関しては一定の結果が得られていない。 6.現在SCID(Severe Combined Immune Deficiency)マウスに上記T細胞株を移入し生着させるべく試みている。さらにSEC1、SEDなどを経口投与しクローン病の実験動物モデル作製を試みる方針である。また、これを用いて各種免疫抑制剤やモノクローナル抗体によるVbeta5.2陽性細胞の選択的排除といった新たな治療法の開発を模索する。
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