1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05770380
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
上嶋 康洋 金沢医科大学, 医学部, 助手 (20184921)
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Keywords | 慢性アルコール投与ラット / アルコール代謝 / アセトアルデヒド代謝 / 非ADHアルコール代謝 / ADH / ALDH / 4-methl pyrazole |
Research Abstract |
アルコール(AI)性肝障害の発生要因として、非ADH産生性のアセトアルデヒド(Ac-CHO)が何らかの役割を果たしていると考えられるので、その肝細胞代謝の特徴を明らかにすることを企図した。 ウィスター系雄ラットを総カロリーの36%のAIを含むAI含有飼料(AI群)と同カロリーの糖質で置換した対照飼料(Cont群)で4週間飼育した。 1.AI 1回投与実験:AI群、Cont群の半数のラットに3.0g/体重(Kg)のAIを腹腔内に投与(AI群、Cont群)し、残りの半数にAIと14mg/体重(Kg)の4-methyl pyrazole(Py)を投与した(AI-Py群、Cont-Py群)。肝静脈と門脈から経時的に採血し、AIとAc-CHO濃度を測定し、180分後にliquid nitrogen cramping法で肝を切除し、肝のAc-CHOの量を測定し、単位AI代謝量に対する肝Ac-CHO量の比率を算定した。肝静脈および門脈血中のAI濃度は経時的に減少し、その速度はAI、Cont、AI-Py、Cont-Py群の順で速く、AI代謝量すなわちAc-CHO産生を、Ac-CHOの較差は肝臓でのAc-CHO代謝量を反映し、肝以外の要素を排除した分析が可能と考えられた。しかし、肝静脈および門脈血のEt-OHとAc-CHO濃度の較差はほとんどなく、肝内Ac-CHOの代謝動態は明らかにはしえなかった。 2.持続注入実験:1回投与実験と同様にAIまたはAIとPyを投与し、1回投与実験で算定された代謝量と同量のAIを股静脈より一定速度で注入し、AIの代謝量と肝Ac-CHOの分解量がほぼ恒常的と考えられる条件下での肝Ac-CHO代謝動態の解析を試みた。しかし、上記のように門脈と肝静脈のAI濃度には較差はほとんどなく、注入量の設定がきわめて困難であった。 今回の検討では、肝内Ac-CHO代謝の特徴を明らかにできなかったが、このような実験系においても肝以外の要素を完全に排除できないためと考えられ、今後は潅流肝を用いた実験系での検討が必要であると考えられた。
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