1993 Fiscal Year Annual Research Report
パッチクランプ法による気道分泌細胞情報伝達の機構の解析
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05770408
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
兼村 俊範 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80233906)
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Keywords | 気道上皮 / イオントランスポート / イオンチャネル / パッチクランプ(法) / C1(クロライド)イオン / 気道分泌 |
Research Abstract |
気道上皮細胞はその粘膜側と漿膜側間で、イオン輸送が行われており、とくにC1イオンの輸送は水分の移動を伴い、気道分泌に深く関与している。本研究の目的は、健常人あるいは気管支喘息患者における気道上皮細胞の分泌機構に関して、バッチクランプ法を用いて解析しようと試みたものである。気管支続を用いて、ヒト気管支粘膜切片を採取し、Growth factorsを含む培養液中の斜面培地上で培養し、この培養細胞のイオンチャネルをバッチクランプ法を用いて解析した。以前の我々の研究から、イヌ培養気道上皮細胞を用いて、その粘膜側におけるイオンチャネルの動態を解析したが、水分の移動は、non-selective channelを通して細胞内へ流入し、K channelを通して細胞外へ流出することが明らかとなった。一方、ヒト培養気道上皮細胞においては、C1チャネルが主体であり、気道分泌はそのC1チャネルが開閉することによりイオン輸送が行われ、二次的に水分が移動するものと考えられた。正常者から得られたヒト培養気道上皮細胞においては、その培養手技が難しく、他の細胞や組織からの影響が多く、細胞固体差がきわめて大きく、イオンチャネルの計測に一定した結果が得にくかった。また気道分泌液の多い気管支喘息患者においては、感染を合併していることが多く、そのチャネルの開確率は非常に測定しにくいものであった。チャネルの開確率は、細胞内Ca濃度が増加することにより増加することより、Ca依存症の可能性が示唆されたが、その他の細胞内情報伝達系については明らかにされなかった。以前の研究で、イヌ培養気道上皮細胞においては、細菌感染時には開確率が増加することがわかっているため、今後これらのヒト培養気道上皮細胞における研究の課題として、現在検討中である。
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Research Products
(1 results)