1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05770442
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
植田 美加 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (10246514)
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Keywords | 単純ヘルペス脳炎 / Polymevase Chuir Reaction(PCR) |
Research Abstract |
髄膜脳炎を疑った患者 53人より得られた髄液100mulよりDNAを抽出し、nested PCRを施行した。プライマーは単純ヘルペスウイルス(以下HSV)中の糖蛋白Dの領域内の20bpに相当する2組を使用し137bpを増幅した。そのPCR産物を2%アガロースゲルで電気泳動後、エチジウムブロマイドを用いて染色した。さらにサザンブロッティングにてニトロセルロースフィルターにDNAをトランスファー後、137bpの中央に位置する合成DNAをプローブにしてハイブリダイゼーションを行い、特異的バンドを検出した。陽性コントロールとしてHSV-DNA(vero細胞に感染させた濃度既存のもの)を用いた希釈系列をつくり、そのオートラジオグラフィーのバンドの濃さと比較して、患者髄液中のHSVコピー数を判定した。この陽性コントロールの段階希釈法により、本システムにおいては髄液中からは2pfuのウイルス量まで検出可能であり、デンシトメトリーを使用して測定したバンドの濃さとウイルス量との間に検量線が描け、患者髄液との比較よりそのウイルス量の推測が可能であった。臨床的に単純ヘルペス脳炎と診断され髄液ヘルペス抗体価(ELISA)陽性の8例は全例PCR法で陽性であった。起因ウイルス不明で無菌性髄膜炎と診断された28例中9例がPCR法で陽性であった。このうち経過を追ってウイルス抗体価を測定し得た7例では全例ウイルス抗体価陽性であった。経過を追えた一症例ではアシクロビル治療により発病後約19日でHSV-DNAが陰性化した。この他陰性コントロールとして施行したギランバレー症候群、CIDP、多発性硬化症、脳梗塞、脊髄小脳変性症の髄液中にはHSV-DNAは検出されなかった。PCR法による単純ヘルペス脳炎の臨床診断は、測定が迅速であり経過を追ってウイルスの確認ができること、非特異反応が少ないことから極めて有用であると考えられた。
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