1993 Fiscal Year Annual Research Report
重症虚血後の部分的再潅流時に発生する致死的心室性不整脈の発生機序
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05770503
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
栗山 正己 産業医科大学, 医学部, 助手 (40248563)
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Keywords | retrogrode flow 法 / 部分的再潅流 / 持続性心室頻拍 / 多電極マッピング / 心筋内リエントリ- |
Research Abstract |
[目的]異型狭心症の冠動脈攣縮改善時、あるいは心筋梗塞急性期の自然ないし血栓溶解療法による再潅流時に、心室頻拍や心室細動といった致死的心室性不整脈がしばしば発生する。本実験では雑種成犬を用い、側副血行の影響の少ないretrograde flow法による25分間の重症心筋虚血後に、controlの冠血流の約2%を虚血域に流す部分的再潅流を行なった。この時発生する致死的心室不整脈について、多電極心電図記録マッピング(心外膜、中層、心内膜層の3層に48×3=144点)で心筋層内の興奮の伝播様式を解析した。不整脈の機序の診断基準は、1.reentry:マップエリア内に最早期興奮部位があり、その隣接点に拡張期最遅延興奮部位を認める、2.non-reentry:マップエリア内に最早期興奮部位があるが、その隣接点に拡張期最遅延興奮部位を認めない、3.判定不能:マップエリア内に最早期興奮部位を認めない、とした。 [結果]31頭で部分的再潅流を行ない、9頭に持続性心室頻拍(SuVT)が、11頭に心室細動(VF)が発生した。SuVT中、診断基準1を満たしたものが3頭、2を満たしたものはなく、3となったものが6頭であった。診断基準3の6頭中2頭で reset,entrainment等の reentryを示唆する所見を得た。診断基準1を満たした3頭の特徴は、VTの最遅延部と最早期部は心内膜層、中層、心外膜層の2層以上にわたり、そのgap periodは29〜33msec程度であった。 [総括]重症心筋虚血後の部分的再潅流時に発生するSuVTの機序としてreentryの関与が大きいことが示唆された。また、VFの機序に関しては、multipleな reentrant circnitの存在が予想された。
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