1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05770504
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中村 正 産業医科大学, 医学部, 助手 (60248565)
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Keywords | 圧受容体反射感度 / 自律神経 / 血圧 / 周波数解析 / 伝達関数 |
Research Abstract |
自律神経の血圧調節能力は急激な血圧変動に対する生体の恒常性を保つ上でもっとも重要な機能である。この能力は虚血性心疾患に伴う心源性の突然死の危険度と逆相関する可能性などがあり,循環器学上重要である。この能力を測定するために従来から連続血圧および心電図を記録し、薬剤で昇圧してゲインを求めている。今回の研究の目的は、この薬剤投与という侵襲をなくし、自発的な血圧変動とそれに付随する心拍変動の相互相関のゲインを周波数解析の手法でためすことにあった。 実際に15名の被験者で薬剤による昇圧で求めた血圧調節能力と周波数解析による血圧調節能力を求めて解析した結果、両者の線形相関は相関係数0.80で、周波数解析による方法が十分神経性の血圧調節能力の指標となりうると考えられた。そこで合計101人の神経性血圧調節能力を非侵襲的に測定し、さらに全身持久力を測定して自律神経機能と体力の関係を調べる方法に応用した。その結果、健常男子で体力まで測定できた70名の中では、神経性の血圧調節能力と体力とは有意な相関が見られた。 以上のように今回試した周波数解析による圧受容体反射機能の評価法は、臨床的にも十分使用可能な方法と考えられた。しかし神経性の血圧調節はフィードバック系であり、開ループゲインを求める周波数解析の方法で測定できることに基礎的な疑問も残る。この点について、血圧調節のフィードバックループにおける心周期の変化の役割が、一般に考えられるほど大きくない可能性が考えられ、この点を確認する実験系を現在構築中である。
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