1993 Fiscal Year Annual Research Report
小児悪性腫瘍患者における水痘・帯状疱疹ウイルスによるサイトカインmRNAの検討
Project/Area Number |
05770524
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中野 貴司 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (20237340)
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Keywords | 水痘帯状疱疹ウイルス(VZV) / 小児白血病 / インターロイキン2 / インターロイキン2レセプター / メッセンジャーRNA(mRNA) / RT-PCR / 免疫異常 / 重症化 |
Research Abstract |
水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster Virus,VZV)は小児で最も一般的な疾患の一つである水痘、あるいは帯状疱疹の原因となるウイルスである。白血病、骨髄移植後などの続発性免疫不全状態では、水痘はしばしば重症化し、その原因としては細胞性免疫異常の関与が考えられている。本研究では、急性リンパ性白血病(ALL)患児より末梢血単核球を分離しVZV抗原を加えて培養し、CD4陽性細胞におけるインターロイキン2レセプター(IL2R)の発現と、IL2R及びインターロイキン2(IL2)のメッセンジャーRNA(mRNA)の発現を検討した。 対象としたのは3歳から12歳までの完全寛解中のALL患児10名であり、すべてVZV抗体陽性で、5名は抗癌剤による化学療法中、残り5名は化学療法終了後の患児であった。末梢血単核球は自家血漿入りRPMI1640にてVZV抗原とともに培養した。CD4陽性細胞におけるIL2Rの発現は、CD4,CD25(IL2Ralpha鎖)に対するモノクロナール抗体を用いてFACScanにより分析した。IL2R及びIL2のmRNAの発現はRT-PCR法にて検討した。 化学療法終了後の患児では、CD4^+CD25^+細胞の割合は有意に増加した。一方化学療法中の患児では、CD25^+細胞の有意の増加は認められなかった。IL2R-mRNAはすべての患児で発現がみられたのに対して、IL2-mRNAの発現は、CD25^+細胞の増加がない症例では認められなかった。 以上のことにより、IL2-mRNA発現の障害は、化学療法中のALL患児におけるVZV抗原に対する免疫異常の原因の一つであると考えられた。
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