1993 Fiscal Year Annual Research Report
小児期血管炎における自己抗体(抗好中球細胞質抗体、抗血管内皮細胞抗体)の研究
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05770557
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
金子 一成 順天堂大学, 医学部, 助手
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Keywords | ANCA、 / 抗好中球細胞質抗体、 / フローサイトメトリー / Henoch-Schonlein紫斑病、 / IgA腎症、 / 潰瘍性大腸炎、 / クローン病、 / 急速進行性腎炎、 |
Research Abstract |
本年度は以下の研究を行った。 1.抗好中球細胞質抗体(ANCA)の定量的かつ簡便な測定法の開発 2.小児の血管炎および類縁疾患での血清中のANCAの陽性率を検討し早期診断への有用性の評価。 【結果】 1.抗好中球細胞質抗体(ANCA)の定量的かつ簡便な測定法の開発については好中球をELISAプレートに固着させて定量する方法(好中球ELISA)やFlow Cytometryを用いた方法で検討しいずれも良好な定量性、簡便性を確立した。 2.小児の血管炎および類縁疾患での血清中のANCAの陽性率を検討し早期診断への有用性の評価において今年度対象とした疾患は、(1)IgA腎症とHenoch-Schonlein紫斑病(HSP)、(2)特発性急速進行性腎炎、(3)炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)である。 その結果(1)一部の報告でANCAが陽性に出現するとされたIgA腎症とHSPにおいてはわれわれの検討では全例陰性でこれらの疾患ではANCAが病因に関わっている可能性は低く、従来の陽性報告は方法論的に問題があること、(2)特発性急速進行性腎炎では成人での報告と同様、腎組織上免疫グロブリン沈着の乏しい型で陽性率が高いこと、(3)潰瘍性大腸炎では成人での報告と同様、ANCAが出現しクローン病との鑑別に用い得る可能性のあること、ただしANCAの対応抗原は他の血管炎で出現するANCAと異なり、まだ未知の物質である可能性が高いこと、を明らかにした。 【考案】これらのことより小児でもANCA陽性疾患は多く存在し診断的価値が高いので簡便な定量的手法を用いてルーチンに測定すべき自己抗体であると思われた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kaneko K.et al.: "Is p-ANCA in ulcerative colitis directed against beta-glucuronidase?" Lancet. 341. 320- (1993)
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[Publications] 金子 一成: "Henoch-Schonlein purpuraおよびIgA腎症におけるANCA(抗好中球細胞質抗体)の存在について" 日本小児科学会雑誌. 97. 643- (1993)
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[Publications] 金子 一成: "抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連腎炎の臨床的検討" 日本小児腎臓病学会雑誌. 6. 101- (1993)
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[Publications] 金子 一成: "抗好中球細胞質抗体(Anti-neutrophil cytoplasmic antibody;ANCA)の新しい検出法好中球ELISA" 腎と透析. 36. 315-317 (1994)
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[Publications] 鈴木 与志晴: "小児の潰瘍性大腸炎における抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody;ANCA)の存在について" 日本小児科学会雑誌. 97. 1925-1930 (1993)
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[Publications] 鈴木 与志晴: "Flow cytometryによる抗好中球細胞質抗体(ANCA)の検出" 日本小児腎臓病学会雑誌. 6. 221- (1993)