1993 Fiscal Year Annual Research Report
新生児および乳児の消化管粘膜に及ぼす母乳中エイコサノイドの影響
Project/Area Number |
05770558
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
清水 俊明 順天堂大学, 医学部, 助手
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Keywords | 母乳 / 粘膜血流 / プロスタグランジン / ロイコトリエン / インドメタシン / 新生児・乳児 / ラット |
Research Abstract |
新生児動脈管開存症の治療として使用されるインドメタシン(Ind)の新生児・乳児の消化管粘膜血流に及ぼす影響を検討するとともに、母乳あるいは母乳中に存在する生理活性物質であるプロスタグランジン(PG)やロイコトリエン(LT)の粘膜血流に対する作用をレーザー血流計を用いて検討した。 1.生後7日の幼ラットでは成ラットに比し、胃および空腸粘膜血流がともに有意に低値を示した(p<0.01)。 2.Indの投与により胃粘膜血流では投与後20分(p<0.05)および30分(p<0.01)で、また空腸粘膜血流では投与後30分(p<0.05)で幼ラットは成ラットに比し有意な血流の低下を認めた。 3.幼ラットでは母乳の胃あるいは空腸投与による前処置により、Ind投与20分後の胃および空腸粘膜血流の低下は有意に抑制された(p<0.01)。 4.ジメチルPGE_2およびLT合成阻害剤であるAA-861の前処置ではInd投与による血流の低下は抑制されなかった。 以上の結果から、幼ラットでは成ラットに比しIndの投与により著明に血流が低下し、これがIndによる消化管粘膜障害の原因となっている可能性が示唆された。また母乳の投与によりIndによる血流の低下が抑制されることがわかったが、人工乳でも同様の抑制が認められたことやPGE_2やAA-861では血流に変化が認められなかったことから、母乳中に存在する脂肪などの刺激によるpostprandial hyperemic reactionと考えられた。
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