1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05770571
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
鶴田 恵子 東邦大学, 医学部, 助手 (30236955)
|
Keywords | BPD患児の慢性期 / 肺性心・肺高血圧 / PG系物質 / 血中6-Keto-PGF_<1alpha> / 血中TXB_2 / 尿中2,3-Dior-6-Keto-PGF_<1alpha> |
Research Abstract |
新生児呼吸管理例の救命率増加に伴い、BPDを始めとする慢性肺疾患症例も近年増加しており、これらのその後の管理が問題になってきている。過去5年間の当施設における慢性肺疾患患児の乳・幼児期の呼吸器症状に対して、加療を要した例は66%あった。いわゆる肺性心を呈した例は17%、気管支喘息と同様の症状を反復する(急性憎悪)例は25%あった。 BPD発症患児の新生児期における、気管肺洗浄液や血漿中のプロスタサイクリン、トロンボキサン、ロイコトリエンなどPG系物質の増加は知られており、種々のケミカルメディエーターのBPDの病態への関与が報告されている。BPD患児の慢性期(乳・幼児期)における、これらの物質の推移と肺性心・肺高血圧、急性憎悪期の病態との関連を検討することが、今回の研究の目的であった。 PG系物質のうち不安定な活性物質は、測定に不向きであり、比較的安定な代謝産物とされている-(1)血中の6-Keto-PGF_<1alpha>(前駆物質PGl_2)、TXB_2(前駆物質TXA_2)、(2)PGl_2の尿中代謝産物である、2,3-Dior-6-Keto-PGF_<1alpha>の蓄尿中の定量を行った。現在のところ尿中排泄量の変化が、PG合成系の活動度を推測するための指標として役立つと思われ、重点的に測定中である。対象となるBPD慢性期の症例数がまだ少なく、また正常コントロール、他疾患児(気管支喘息、肺高血圧、川崎病など)における参考値も必要と思われ、検体数を増やして現在測定中である。尚、今回の研究期間中の対象例の中で、肺性心・肺高血圧を伴っており、感染を契機に呼吸器症状が急性悪化し、長期呼吸器管理を要した1例を経験した。この症例では、喘息に対して有効性がいわれているTXA_2合成酵素阻害剤の使用を試みたので、臨床経験及びPG系物質推移との関係も検討中である。
|