1993 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病における血中Lipopvotein(a)〔Lp(a)〕と血管病変との関係
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05770573
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
村野 浩太郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (90230002)
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Keywords | 川崎病 / 血漿Lp(a)値 / 冠動脈瘤 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
1.健常小児と川崎病既往児(KD)における血漿Lp(a)値:健常小児における血漿Lp(a)値は9.9±1.1(mean±S.E.)mg/dl、KDでは13.5±0.9mg/dlであった。 2.川崎病における血漿Lp(a)値の経時的変動:KDの急性期(発症〜1カ月)、回復期(2カ月〜1年未満)、遠隔期(1年以降)の3期に分類し、急性期は11.0±1.6mg/dl、回復期から遠隔期にかけてのLp(a)値はそれぞれ9.7±1.4mg/dl、15.5±1.3mg/dlであった。また遠隔期でも10年以上経過したものでは健常小児に比べ有意に高値を示した。 3.川崎病における冠動脈病変と血漿Lp(a)値:KDの冠動脈瘤形成群(CAL+)における超音波心エコー検査を用いて評価した冠動脈瘤の直径を3.5mm未満、3.5mm〜8.0mm、8.0mm以上と3群に分け、冠動脈瘤直径が8mm以下のものはそれぞれ15.3±1.9mg/dl、14.2±1.8mg/dlであったが、8mm以上の群では31.2±10.2mg/dlと有意に高値を示した。 4.川崎病における冠動脈病変と血漿Lp(a)値との経時的変動:KDのうちでCAL+と冠動脈瘤無形成群(CAL-)との間のLp(a)値の急性期は12.5±2.1mg/dlと10.6±2.0mg/dl、回復期は13.1±2.4mg/dlと8.6±1.7mg/dlであり正常コントロール群に比べてCAL-は低値を、CAL+は高値を示し、さらに遠隔期ではそれぞれ19.8±1.3mg/dlと12.2±2.1mg/dlで経時的に高値を示した。 5.川崎病の初期治療別による血漿Lp(a)値の経時的変動:急性期におけるグロブリン療法群(IVGG)は11.5±1.7mg/dl、アスピリン単独療法群(ASA)では3.8±2.3mg/dl、回復期は9.0±1.5mg/dl、16.1±1.2mg/dl、遠隔期はそれぞれ11.0±1.3mg/dl、18.9±2.1mg/dlとIVGGにおける遠隔期での低値を示した。 6.考察:KDの遠隔期におけるLp(a)の治療別での検討ではIVGGがASAに比べて低値を示し、初期治療におけるIVGGの有効性を示唆するものと考えられた。Lp(a)が高値であることは、遠隔期群、特にCAL+においては線溶系の抑制状態にあることを示す成績と考えられた。KDのCAL+でLp(a)が高値を示した患児は血管病変による動脈硬化、虚血性心疾患へ進展する可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 村野浩太郎: "川崎病における血中ミオシン軽鎖" 聖マリアンナ医科大学雑誌. 17. 474-481 (1989)
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[Publications] 村野浩太郎: "川崎病の心筋障害とミオシン軽鎖" 炎症. 10. 205-209 (1990)
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[Publications] 森内久夫: "川崎病の免疫グロブリン使用群、非使用群における遠隔でのF-PAとPAI-Iの変化" 治療. 74. 978- (1992)
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[Publications] 吉丸昌秀: "チリキナーゼの経静脈的投与により血栓の縮小消退がみられた川崎病巨大冠動脈瘤の1例" 小児科診療. 56. 1072-1077 (1993)