1993 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚悪性黒色腫におけるCD4陽性腫瘍浸潤リンパ球を用いた養子免疫療法に関する研究
Project/Area Number |
05770625
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
前田 和男 札幌医科大学, 医学部・皮膚科, 助手 (20199607)
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Keywords | 養子免疫療法 / CD4陽性T細胞 / anti-CD4 / 悪性黒色腫 |
Research Abstract |
CD4陽性T細胞を体外で増殖させ、増殖した細胞が、悪性黒色腫細胞に対してどのような影響を及ぼすのか、あるいは、その産生するサイトカインによりが悪性黒色腫細胞どのような影響を受けるのかということを検討するために実験を行なった。5人の健康成人の末梢血よりCD4陽性T細胞をant-CD4、Dynabeadsを用いて選択的に分離し、anti-CD3とIL-2の存在下に培養し以下の結果を得た。(1)培養した細胞は1週間で約50倍まで増殖した。(2)増殖した細胞の表面形質は、CD2+,CD3+,CD4+,CD8-,CD25+,CD29+,CD56-T細胞であった。(3)増殖細胞の直接的な抗腫瘍活性は非常に弱いが、一部の細胞はNK活性、LAK活性を有していた。(4)増殖細胞の培養上清は悪性黒色腫培養細胞の増殖を著明に抑制した。(5)増殖細胞の培養上清はclassI,classII,ICAM-1の発現を著明に増強した。(6)増殖細胞の培養上清中にはIL-2,IL-6,IFN-gが大量に存在した。以上の結果よりCD4陽性T細胞を用いた癌の養子免疫療法は、これまでのNK細胞、LAK細胞、CD8陽性T細胞を用いた養子免疫療法の欠点である宿主のlocal helpを有効に増強させる効果的な方法であり、従来の養子免疫療法と併用しうる可能性を示唆した。
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