1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05770655
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
原田 正 近畿大学, 医学部, 講師 (10228653)
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Keywords | 表皮角化細胞 / 細胞接着分子 / デスモプラキン / カドヘリン / CD44 / 角化異常症 / 水疱症 / 表皮系腫瘍 |
Research Abstract |
1.角化異常症、水疱症における表皮角化細胞の細胞接着分子の局在:角化異常症(ヘイリーヘイリー病(HD)、ダリエ病(DD))、水疱症(尋常性天疱癒(PV))について検討した。抗デスモプラキン抗体はHD、DDの棘融解した表皮細胞において、細胞膜の点状の反応が失われ、細胞膜から細胞質へびまん性に反応していた。一方、PVにおいては棘融解した表皮細胞の細胞膜に正常表皮と同様に点状の反応が認められた。抗Eカドヘリン抗体はHD、DDの棘融解した表皮細胞において、細胞膜での反応の減弱がみられたが、PVの棘融解した表皮細胞では細胞膜での反応の減弱はみられず、正常表皮と同様に線状に反応していた。抗CD44抗体はHD、DDの棘融解した表皮細胞において、正常表皮と同様に細胞膜に線状に反応していたが、PVの棘融解した表皮細胞では細胞膜での反応の減弱がみられた。以上の結果より、角化異常症のHD、DDの表皮細胞の棘融解にはデスモプラキン、カドヘリンの異常が関与している可能性が示唆された。また、水疱症のPVの表皮細胞の棘融解にはCD44分子の異常が関与している可能性が示唆された(第19回日本研究皮膚科学会学術大会、平成6年8月にて発表予定)。 2.表皮系腫瘍におけるCD44分子の局在:表皮系腫瘍(基底細胞癌(BCC)、有棘細胞癌(SCC))について検討した。抗CD44抗体はBCCの腫瘍細胞の細胞膜に正常表皮と同様に線状に反応していた。一方、SCCの腫瘍細胞では細胞膜での反応の減弱がみられた。SCCにおけるCD44分子の発現の減弱はSCCがBCCよりも浸潤、転移しやすいことと相関していると考えられた(第45回日本皮膚科学会中部支部学術大会、平成6年10月にて発表予定)。 3.現在、ウイルス性皮膚疾患の水疱形成における表皮角化細胞の細胞接着分子の局在について検討中である(平成6年度、科学研究費補助金(奨励研究(A))交付申請中)。
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