1993 Fiscal Year Annual Research Report
非イオン性及びイオン性MR造影剤の急速静注が血行動態に与える影響の評価
Project/Area Number |
05770675
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
増井 孝之 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90242768)
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Keywords | MR造影剤 / 非イオン性 / 静脈内投与 / 血行動態 / イオン性 |
Research Abstract |
<目的>日常臨床における高速MR法の使用にともない造影剤の急速静脈内投与が頻繁に行われるようになった。さらにまたその安全域が高いとされる非イオン性造影剤の高濃度投与も考慮されうる。従ってこの研究の目的は血行動態に対してイオン性及び非イオン性造影剤の臨床使用濃度から高濃度までの急速静脈投与がどのような影響を与えるかを評価したことである。<対象と方法>麻酔下の20匹の正常ラット(Wistar雄,26-290g)に対し3本のカテーテルをそれぞれ経右頚動脈性に左心室、経右頚静脈性に右心房、経右大腿動脈性に腹部下行動脈に留置し、左心室圧、左心室圧の時間的変化(dp/dt)、右心房圧、下行大動脈圧、心拍数を連続的に記録した。0.1,0.3,0.5mmol/kg(総量0.3ml)のイオン性造影剤 gadopentetate dimeglumine,Gd-DTPA(Magnevist;Shering)(n=10)あるいは非イオン性造影剤 Gadoteriodol,Gd-HP-DO3A(ProHance,Squibb Diagnostics)(n=10)、コントロールとして造影剤投与前に生理的食塩水0.3mlのそれぞれを確保した大腿静脈より約1秒かけて投与したあと各項目について10分間の記録を行った。<結果>Gd-DTPAの急速静注により一次的な血圧降下が見られた(最大左心室圧 0.5mmol/kgで-25.0%,0.3mmol/kgで-13.2%)。最大の血圧降下は造影剤投与後6から30秒後に認められた。投与量が増加するに従い最大の血圧降下が見られるまでの時間は延長した。この降下した血圧は造影剤投与後2から3分後に投与前の血圧に回復した。一方Gd-HP-DO3Aは0.5,0.3mmol/kgの投与において最大左心室圧、その1次微分の一時的な上昇が認められた。この最大の反応は造影剤投与後15秒前後に認められ30-60秒後には投与前の値に回復した。同様の現象は抹消血圧、dP/dtにも認められた。<結論>イオン性造影剤gadopentetate dimeglumineの急速静注は血行動態に対する陰性作用をもつ。逆に高濃度の非イオン性造影剤Gadoteriodolの急速静注は一時的陽性作用をもつ。
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Research Products
(1 results)