1993 Fiscal Year Annual Research Report
Ki-67モノクローナル抗体による癌生検材料の増殖分画デジタル画像解析法の開発
Project/Area Number |
05770700
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西口 郁 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20198451)
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Keywords | 顕微鏡標本の定量解析 / 放射線感受性 / 放射線治療 |
Research Abstract |
個々の患者の放射線治療法を個別化し、治療成績の向上をはかるためには腫瘍毎に放射線感受性を明確にする必要がある。実験腫瘍と異なりヒトの腫瘍は増殖分画が小さく、休止期(GO期)の細胞が多いため、放射線や抗癌剤に対し抵抗性である。腫瘍の増殖分画を治療前に知ることができれば治療効果の予測に役立ち、個々の患者に適した治療内容を決定できる。個々の患者から得た生検材料をKi-67モノクローナル抗体で免疫組織染色すれば増殖期の細胞の核抗原には反応するが、休止期細胞には反応せず、増殖分画が求められる。しかし既存の方法では増殖分画を算出するのは煩雑である。本研究は顕微鏡像をデジタル画像としてコンピュータにとりこみ、デジタル画像解析法であるstaining densitometryを利用し、迅速かつ簡便に増殖分画を求めることを目的とし、放射線治療を個別化するために、緊急を要する課題と考えられる。本研究では以下のように実験計画を立案し遂行した。癌患者の癌腫より生検材料を採取し、ドライアイスにて凍結させて急速凍結切片を作成した。この組織標本にABC法を用いて免疫組織染色を行った。1次抗体として希釈したKi-67を1時間反応させた後、二次抗体としてビチオン化抗マウスウマ血清で30分、ABC reagentで40分反応させた。発色はDAB-H_2O_2を用い、ハリスのヘマトキシリンにて核染色を行なった。この切片標本の顕微鏡画像をCCDカメラで撮影し、デジタルフレームメモリーを介してコンピュータに画像を取り込み、上のデジタル画像の単位面積当たりのKi-67で染色された面積の比率を計算し、増殖分画を求めた。顕微鏡下で、マニュアルで前細胞数に占めるKi-67陽性細胞数の比率を求め、上記の結果と比較した。増殖分画はヒト癌腫の放射線感受性の予測に重要な役割を有しており、コンピュータ支援システムを用いることで、検者の主観、経験に左右されることなく迅速で正確に算出することができた。
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