1993 Fiscal Year Annual Research Report
新しい老人斑構成蛋白の役割と診断的意義に関する、生化学的、分子生物学的研究
Project/Area Number |
05770708
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高丸 勇司 北海道大学, 医学部, 助手 (20241309)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイド / SP-40,40 / アポリポプロテインE / モノクローナル抗体 / 星状グリア細胞 |
Research Abstract |
既に樹立したモノクローナル抗体を用いて、SP-40,40およびアポリポプロテインE(ApoE)という新しい老人斑構成蛋白の動態、役割を明らかにすることを目的にして実験を行なった。これまでに得られた結果と、今後の計画について報告する。 1.脳の構成細胞におけるSP-40,40、ApoEの産生:脳の構成細胞である星状グリア細胞由来の細胞株を培養し、その培養上清と細胞ホモジネート画分中の各蛋白をウエスタンブロッテイングによって検討した。各蛋白は培養上清、細胞ホモジネートのいずれにもその存在が確認され、脳内で独自に発現されていることが示唆された。しかしミクログリアの初代培養についてはこれまで充分な結果が得られていない。これには培養条件、各蛋白の産生量あるいは検出感度などの問題点が考えられ、検討をつづけている。 2.SP-40,40、ApoE産生にbeta蛋白、heat shockが与える影響:合成したbeta蛋白を培養系に加える、あるいは培養細胞にheat shockを加えて、各蛋白の発現の変化をノーザンブロッティングとウエスタンブロッティングにより検討した。その結果各蛋白はmRNA、あるいは蛋白の発現量に変化がみられた。産生量の増加したこれらの蛋白が、APPの代謝やbeta蛋白の生成にどのような形で関与しているのかが今後の検討課題である。 3.髄液、血液中のSP-40,40、ApoE量の測定:各蛋白に対するモノクローナル抗体を用いてサンドイッチELISA法による定量システムを確立した。このシステムを使ってアルツハイマー型痴呆(AD)、他の中枢神経変性疾患患者、正常対照者の髄液、血液中の蛋白量を定量した。ADのステージによっては髄液中において蛋白の産生量が増加している所見が得られており、さらに検体数を増やして分製を行なっている。またApoEについては併せてそのisoformを分析し、蛋白量との関連についても解析を行なっている。
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