1993 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性細小血管症と基底膜物質との間連:コラーゲン遺伝子発現に及ぼす高血糖の影響
Project/Area Number |
05770778
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
森谷 茂樹 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (20201816)
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Keywords | 血管新生 / 糖尿病性細小血管症 / グルコース / 糖尿病性網膜症 / 血管内皮細胞 / コラーゲンゲル |
Research Abstract |
糖尿病性細小血管障害の原因を解明する目的で、グルコースの血管新生におよぼす影響を検討した。ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用い、血管新生亢進作用が報告されているPGE_2(10^<-7>M)、グルコース(5mM,15mM、30mM)、ならびに糖尿病性細小血管症の抑制作用が予想されるエイコサペンタエンサン(EPA;1mug/mI,5mug/mI,10mug/mI)を培養液中に加え、コラーゲンゲルによる包埋培養とペトリ皿上の単層培養をおこなった。血管新生の評価は、内皮細胞の単層培養での遊走能(移動距離)と包埋培養での管腔様形成能(画像解析装置にて測定)で検討した。HUVECはグルコース濃度依存性に遊走能は亢進した(180±45,223±39,364±25mum)。また、培養時間依存性にも増加した。PGE_2では340±45mumと亢進し、EPAでは遊走能に変化はなかった。管腔長はグルコース濃度依存性に増加し(0.065±0.01,0.095±0.012,0.15±0.02mum)、PGE_2で0.24±0.04mumと増加し、EPAで濃度依存性に抑制された(0.059±0.01,0.041±0.015,0.011±0.018mum)。結果よりグルコースにより血管内皮細胞の遊走能ならびに管腔様構造形成能の亢進が認められた。EPAはグルコースによって亢進した遊走能を抑制できなかったが、管腔様構造能は抑制した。以上よりグルコースの直接作用により血管新生は亢進することが想定され、高グルコース状態と糖尿病性細小血管症発症との関与が強く示唆された。また、EPAは細小血管症の予防につながる可能性が示唆された。今後はさらに、インスリン、アルドース還元酵素阻害剤等に関しても検討を加えて、血管新生の発症のメカニズムを解明したい。
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