1993 Fiscal Year Annual Research Report
バソプレッシン受容体(V_1)の脱感作現象の成立機序に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
05770787
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
浦上 昌也 関西医科大学, 医学部, 助手 (50247904)
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Keywords | バソプレッシン / V_1受容体 / 脱感作 / 分子生物学 |
Research Abstract |
1)我々は、既にヒト血小板を用いた研究により、Vasopressin(V_1)受容体の急性脱感作現象を血小板凝集反応、細胞内遊離Ca^<2+>濃度の測定を行なうことにより確認し、急性脱感作現象が受容体数の低下によるものではなく、受容体とPhospholipase C(PLC)の脱共役による可能性が強い事を示してきた。今回、IP_3を直接測定する事により、急性脱感作現象が少なくともIP_3産生の段階で生じている事を確認した。その経過中に急性脱感作現象はそれ単独では血小板活性化作用を有さない低濃度のVasopressinで引き起こされる事を見いだした。また、低濃度のVasopressinが急性同種脱感作現象を引き起こす一方で、collagenによる血小板活性化閾値を低下させることも見いだした。これは、血小板活性化には非生理的濃度のVasopressinが必要であることから、従来疑問視されてきたV_1受容体を介する血小板活性化の臨床生理学的意義を新たに見いだしたものであると考えられる。 2)次に、Vasopressin受容体(V_1)の脱感作現象の分子生物学的機序を検討する目的で、ラットのV_1受容体のcDNAのcloningを行った。発表されたV_1受容体のcDNAをもとにしてPCR法で約1.4kbのプローブを作成し、ラット肝cDNAライブラリーより実際にV_1受容体のcDNAのクローンを取り出しその構造解析を行った。今後、これらのmutant geneを作製し、発現ベクターにサブクローニングする。この発現ベクターをCos細胞に移入し、細胞膜上に発現したmutant受容体の機能解析を行う予定である。予定された研究の完成にはさらに時間を要する。
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