1993 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄異形成症候群における単一細胞を用いた癌遺伝子および癌抑制遺伝子変異の証明
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05770819
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
鮫島 勇一 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20246606)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / 単一細胞解析 |
Research Abstract |
N-ras遺伝子の異常および第5染色体短腕の欠失がすでに確認されていた骨髄異形成症候群(MDS)患者の骨髄組織より分離した単一細胞のそれぞれについて、primer-extemsion preamplification法およびnested PCR法を施行して各遺伝子のDNA断片を増幅した。増幅されたN-ras遺伝子のexon 1の領域を含むDNA断片をSSCP解析法にかけることにより、本遺伝子の点突然変異は単一細胞からでも検出しうることが示された。同一症例において、解析し得た範囲の細胞については、芽球および形質細胞に同一の変異が検出され、MDSにおいては悪性クローン由来のリンパ系細胞をもつ症例もあることが示唆された。また、N-ras遺伝子の変異が検出された細胞についてAPC遺伝子の3′側のuntranslatedregionにあるSsp Iの多形性部位を含むDNA断片を増幅し、制御酵素断片長多型性を用いた解析を施行した。その結果、N-ras遺伝子の変異が存在する細胞でも、APC遺伝子のヘテロ接合性の喪失は認められないことが明らかとなった。すなわち、MDSに高頻度に認められる第5染色体短腕欠失の切断点はAPC遺伝子の不活化よりは癌遺伝であるN-ras遺伝子の活性化の方がより深く関与していることが示唆された。現在、さらにp53遺伝子やRb遺伝子等の癌抑制遺伝子、IRF-1遺伝子等の第5染色体長腕上に遺伝子座をもち造血に関与すると考えられている遺伝子についても、解析を検討中である。
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