1993 Fiscal Year Annual Research Report
更年期高血圧における圧-利尿(腎機能)曲線の異常とカルシウム代謝の変化
Project/Area Number |
05770837
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大塚 恵一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40223862)
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Keywords | 更年期高血圧 / 食塩感受性 / DAHL RAT / 圧-利尿曲線 / 卵巣摘出術 / 細胞内カルシウム |
Research Abstract |
当初予定していた研究対象は人であったが、症例が少ないため高血圧実験動物モデルで実験を行いまずその傾向をみることにした。更年期高血圧の特徴のひとつに食塩感受性があることから高血圧実験動物モデルのなかでも食塩負荷により血圧上昇を認める食塩感受性高血圧ラットであるDahl salt-sensitive ratを用いて以下の実験を行いその結果を得た。まず食塩感受性を評価するために麻酔下でラットの動静脈にカテーテルを留置し、片側腎摘出、両側副腎摘出した。昇圧ホルモン入潅流液を注入しながら血圧を変化させた時の尿中ナトリウム排泄量を測定した。血圧と尿中ナトリウム排泄量から得られたグラフの傾きから食塩感受性を求めた結果、卵巣を摘出したラットではコントロール群に比べその傾きが減少し、すなわち食塩感受性の増大が示唆された。 同じラットで蛍光色素であるFURA-2AMを用いて血小板の細胞内カルシウムを測定した結果、卵巣摘出したラットでは細胞内カルシウム濃度の増加を認めた。以上の結果から雌の食塩感受性ラットでは卵巣摘出により食塩感受性の増大とともに血小板細胞内カルシウム濃度の増加をみとめたことからその背景にカルシウム代謝異常が存在する可能性が示唆された。今回のラットの実験結果から今後は人において臨床的に意義のある閉経後の高血圧(更年期高血圧)や妊娠中あるいは経口避妊薬による高血圧の原因究明にあたり、カルシウム代謝異常がひとつの手がかりになる可能性を示唆した。
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