1993 Fiscal Year Annual Research Report
原発性ネフローゼ症候群にみられる糸球体肥大の成因について-サイトカインの関与-
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05770839
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
島田 敏樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40216065)
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Keywords | ネフローゼ症候郡 / 糸球体肥大 / サイトカイン |
Research Abstract |
近年実験的動物モデルでの検討から、糸球体障害の進展機序の1つとして、糸球体肥大(glomerular hypertrophy)の果たす役割が注目されている。そこで今回、巣状糸球体硬化症(以下FGS)にみられる糸球体肥大の成因を解明するため、とくに糸球体硬化に中心的役割を果たしていると考えられているメサンギウム細胞に注目し、FGS症例、微小変化群(以下MCNS)症例および健常者の末梢血リンパ球の培養上清を用いて、これらが培養メサンギウム細胞の細胞外基質産生能に与える影響について解析を試みた。 当科において経験した原発性ネフローゼ症候群症例のうち、腎生検にてFGS、MCNSと診断された症例および健常者、各数名の末梢血を採取、Ficoll-Conray法によりリンパ球を分離し、PHA2-5mug/mlの刺激下に、10%FCS加RPMI1640液10ml当たり10^7個の割合で7日間培養した。 以上により得られたリンパ球の培養上清を、1%、3%、5%の割合で培養ラットメサンギウム細胞に添加し、メサンギウム細胞の細胞外基質代謝を中心に観察した。細胞外基質代謝は、laminin、typeIV collagen、fibronection、heparan sulfate proteoglycanなど、各種細胞外基質成分およびその代謝にかかわるmetalloproteinase、およびそのインヒビターである tissue inhibitorofmetalloproteinaseのmRNA レベルを Northernblot 法にて解析している。添加する培養上清の培地に対する濃度の決定や上清添加による細胞のviability等の問題もあり、現在実験を積み重ねて更に検討中である。また、メサンギウム細胞に何らかの影響を与える因子として、リンパ球培養上清中のIL-1、IL-2、IL-6、TNF-alphaにつき測定中である。
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