1994 Fiscal Year Annual Research Report
ウサギ胎仔持続的薬物投与モデルを用いた肺成熟過程の相互作用に関する研究
Project/Area Number |
05770851
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
香川 秀之 東京大学, 医学部, 助手
|
Keywords | 肺成熟 / 胎児呼吸様運動 / マイクロオスモティックポンプ / Radial alveolar count / lamellar body |
Research Abstract |
妊娠家兎胎仔(25日齢)に、マイクロオスモティックポンプを用いて神経筋遮断剤の持続投与を行うことにより、胎仔呼吸様運動を停止させる実験を15胎仔に施行した。胎仔呼吸様運動の観察は、超音波断層法により行い、ビデオテープに記録した。妊娠28日齢で、胎仔を解剖し、胎仔重量および肺、肝臓、心臓、腎臓等の臓器重量を計測した。さらに、肺細胞については、光学顕微鏡標本、電子顕微鏡標本を作製し、肺胞分岐数、Radial alveolar count(RAC)、II型肺細胞内lamellar bodyの数、大きさを指標として、胎仔呼吸様運動の胎仔肺成熟に及ぼす組織学的影響を検討した。対照としては、胎仔呼吸様運動を有する生理食塩水注入群と無処置群を用いた。 胎仔重量は、実験群、対照群で有意差はなかった。胎仔肺重量および肺/体重比は、実験群で有意に低値を示した。肺以外の臓器重量および臓器重量/体重比には、実験群、対照群で有意差はなかった。 光学顕微鏡所見では、肺胞分岐数、RACとも実験群で有意に低値を示した。また、電子顕微鏡所見では、II型肺細胞内lamellar bodyの数、大きさとも実験群で有意に低値を示した。 以上の実験結果から、神経筋遮断剤持続投与による胎仔呼吸様運動の停止が、肺低形成および組織学的肺成熟の遅延に関与したと考えられ、胎仔呼吸様運動の肺形成、肺成熟における重要性が示唆された。 今後は、胎仔呼吸様運動の生化学的肺成熟過程との関係について検討を続けたい。
|