1993 Fiscal Year Annual Research Report
遊離・有茎移植腸管の血行とViabilityに関する臨床的研究
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05770919
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
渡部 宜久 神戸大学, 医学部・付属病院, 助手 (10243320)
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Keywords | 腸管壁内pH / 遊離空腸移植 |
Research Abstract |
臨床例では腸管壁内pH測定の対象として、臓器の挙上範囲が大きく、その血行状態が問題になることが多い食道悪性腫瘍に対する胸部食道切除後の再建臓器(空腸、結腸、胃管)の頚部食道との吻合部、および下咽頭癌に対する下咽頭・頚部食道切除後の再建として用いられる遊離空腸移植例を選択し、合計10例にトノミーターカテーテルを留置し、再建臓器の作成時から腸管壁内pHを経時的に測定した。 その測定結果と臨床的に判断される縫合不全の発生率に関して検討を加えたところ、術後の全測定期間を通じて壁内pHが7.2以上に維持された5例には縫合不全は見られなかったが、一時的にでも壁内pHが7.2以下に低下した5例では60%に縫合不全が発生し、血流障害による縫合不全発生の指標としてトノミーターカテーテ-ルによる壁内pHの測定値を使用できる可能性が示唆された。 実験的には、ビ-グル犬の成犬を使用し、全身麻酔下に開腹し、小腸の腸間膜を処理して15〜20cmの長さに小腸を切断し、その内腔にトノミーターカテーテ-ルを留置して小腸壁のpHを測定した。 血管を処理しない場合、小腸の壁内pHは7.2〜7.4で安定していたが、腸管膜動脈の完全遮断では、腸管壁は急速に色調が変化し壁内pHも急速に7.0以下に低下した。腸管膜静脈の完全遮断に老いても鬱血と共に壁内pHが7.0以下に低下した。20cmにわたって辺縁動静脈のみを残した状態に腸間膜を処理した場合は、腸管壁の色調は変化せず壁内pHも変化しなかった。
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