1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05770942
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
太田 秀二郎 順天堂大学, 医学部, 助手 (60223830)
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Keywords | 粘液産生膵腫瘍 / 遺伝子学的研究 / Ki染色 |
Research Abstract |
粘液産生膵腫瘍の悪性度を中心とした細胞特性を明らかにする目的で、本研究を行った。 研究対象とした粘液産生膵腫瘍は当科にて切除した20例。男性15例、女性5例、平均年齢62.9歳。性差、年齢に有意な所見を認めなかった。術前耐糖能異常が10例(糖尿病型7例、境界型3例)にみられたが、腫瘍マーカー、血液検査で特異な所見は得られなかった。臨床画像診断では、腹部超音波検査、ERCP,EUSで局在診断は容易であった。しかし著明な癌浸潤を認めた症例を除いて、質的診断は困難であった。病変部位では頭部15例(1例は重複病変)、体部4例、尾部2例で、頭部に多かった。臨床病理学的分類では、主膵管型6例、分枝型7例、複合型8例(1例は重複病変)で、主膵管型は、分枝型・複合型に較べより病変が大きく、悪性例が多かった。病理学的には、悪性5例、良性15例(腺腫、過形成)で、悪性例は高分化型腺癌であった。病変の拡がりの大きさを検討したところ、3.0cm以上の症例で有意に悪性例が多かった。臨床的検討では、腫瘍の大きさが、悪性度と相関することが示唆された。 従来から指摘されている本腫瘍のmalignant potentialを明らかにするために、フローサイトメトリーを用いた遺伝子学的検討を準備したが、腫瘍の大きさが小さく、腫瘍細胞の分離が困難で、かつ細胞数も少ないため、有効な解析は不能であった。 本研究の目的を達成するため、最近市販されたKi抗原の染色Kitを用いて、小病変の薄切標本を作成し、免疫染色を行うために、昨年度に引き続いて、本年度も研究を継続している。現在パラフィンブロックから標本の作成の準備中である。
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