1993 Fiscal Year Annual Research Report
微小透析膜を用いての肝性脳症における脳内アミノ酸代謝異常の再検討
Project/Area Number |
05770955
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
加藤 研一 関西医科大学, 医学部, 助手 (60214368)
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Keywords | 肝性脳症 / アンモニア / アミノ酸代謝 / エネルギーチャージ / ミトコンドリア機能 |
Research Abstract |
肝性脳症の原因を再検討すべくラットに高アンモニア血症を作成し、脳内アミノ酸代謝の動態およびそれに伴う脳エネルギー動態について検討した。 Wistar系雄性ラットを抱水クロラールにて麻酔後、ラット用定位脳装置にラットを固定、microdialysis用の1×0.05mmの微小透析膜を右海馬および右大脳皮質に挿入した。まず、microdialysisを用いて潅流液を3mul/minの速度で潅流し、潅流が安定した30後の値を前値として採取した後、酢酸アンモニウム10、50mMを添加し、各2時間、4時間、6時間潅流後、直ちに断頭、脳局所アンモニアの影響を正常組織との間で比較検討した。[結果]1 脳組織内アミノ酸とくにグルタミン、グルタミン酸の動態とエネルギー動態に関する検討:アンモニア添加により脳局所におけるグルタミン、グルタミン酸は時間経過とともにに著明に上昇し、6時間後では10mMで海馬のグルタミン72±12mmol/l,グルタミン酸34±11mmol/l、大脳皮質でもほぼ同様に上昇した。エネルギーチャージ(ATP+1/2ADP)/(ATP+ADP+AMP)はアンモニア添加後、海馬、大脳皮質ともに時間の経過とともに徐々に低下し、6時間後にはいずれも0.76前後に有意に低下した。50mMではグルタミン、グルタミン酸は10mMの約4倍、エネルギーチャージは0.63前後に低下した。2 アンモニアが脳ミトコンドリア機能に与える影響に関する検討:断頭後、直ちに30度下に遠心分離法にてミトコンドリアを採取し、サクシネート、グルタミン酸を基質としてクラーク電極をもちいてキトコンドリア呼吸能を検討したところ、いずれの呼吸能も時間の経過とともに抑制され、6時間後のstate 3で10mM.50mMいずれも有意の呼吸抑制を認めた。 以上よりアンモニア上昇をきたす肝性脳症ではその解毒に対するエネルギー消費が増大する一方、アンモニア増加に伴い、ミトコンドリアにおけるエネルギー産生が低下していることが判明した。
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