1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05770981
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
長谷川 伸之 自治医科大学, 医学部, 助手 (60237980)
|
Keywords | 再膨張性肺水腫 / 自然気胸 / ロイコトリエン / トロンボキサン / 生体肺微小循環観察法 |
Research Abstract |
自然気胸で、3日以上放置された完全な虚脱肺を、脱気療法にて再膨張させると、患側肺に再膨張性肺水腫を発生することがしばしばあるが、その明らかな発生機序においては、いまだ十分に解明されていない。われわれは、この発生機序について、再膨張による機械的作用で肺微小血管が急激に引き伸ばされ、血管内皮細胞が破綻し、chemical mediator(ロイコトリエン,トロンボキサン,IL-8,G-CSF,TNF)などの流出と、血管透過性の亢進によって引き起こされると推定している。また、この際、破綻した血管内皮細胞より白血球遊走因子などが放出され白血球増多や肺への白血球遊走が起こり、血管内皮細胞の修復が計られるものと推定している。この考えを立証するためには虚脱肺が再膨張する過程での肺微小血管の動的観察と、電子顕微鏡による血管内皮の観察が是非とも必要とする。蘇原らの開発した生体肺微小循環観察法は、肺微小循環の動態や肺水腫の発生状況が生体にあるがままの状態で観察できるため、このような動的解析に向いている。われわれは、Wistar系ラットで実験モデルを作成し肺動脈圧、動脈血ガス分析、肺歓送重量比、白血球数、尿中ロイコトリエン,トロンボキサン、クレアチレンを測定すると同時に分子量60000のFITC-albumin,acridine red を静注し、生体肺微小循環法を用いて、肺微小血管、間質の変化や血小板、白血球の付着状況を観察した。再膨張性肺水腫を起こした肺小血管の直径や血管長が拡大し、周囲へのFITC-albuminの漏出、白血球の遊走が観察された。また、患側肺の湿乾重量比は増加した。白血球数、尿中ロイコトリエン,トロンボキサンは再膨張後一過性に増加し減少した。以上のことから、発生機序には、再膨張による機械的作用で放出されるchemical mediator が引き金になり肺微小血管に上記変化が起こったと考えられた。
|
Research Products
(2 results)