1993 Fiscal Year Annual Research Report
ウサギ人工心肺モデルを用いた^<31>P-MRSによる脳保護法の研究
Project/Area Number |
05770982
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
水原 章浩 自治医科大学, 医学部, 助手 (00190661)
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Keywords | 脳虚血 / 低温 / 脳保護 / MRS |
Research Abstract |
研究費申請時、ウサギ人工心肺モデルで脳血流遮断における各種低体温の脳保護効果を^<31>P-MRSを用いて検討したいと考えていたが、実験室の清潔の問題、スペース問題等があり、ラットを使った実験に変更した。 #新研究名:開胸法によるラット一過性脳虚血モデルを用いたMRSによる脳エネルギー代謝の研究-低温の脳保護効果の評価- 1)開胸法によるラット全脳虚血モデルの作製:胸骨正中切開し、両側鎖骨下動脈を結紮、そのうえで両側総頸動脈をsnareする方法(開胸法)で可逆性全脳虚血モデルを作製した。 2)ラット体温(直腸温)の調節:温度調節ブランケットの上にラットを置くことおよび氷嚢による体表面冷却法にて目標の体温(20℃、37℃)に調節できた。20℃にてもVFとならず血行動態の維持が可能であった。 3)各直腸温におけるコントロールおよび脳虚血時のMRS測定:Otsuka Electronics USA社製^<31>P-MRS spectrometer を用い、無機リン(Pi)、クレアチニンリン酸(PC)、ATP(alpha、beta、gamma)濃度を測定した。各濃度の、虚血前コントロール値からの変化率およびPC/ATP比、PC/Pi比およびPC/Pi比を算出した。遮断時間は30分とし、再潅流後の測定は180分まで行った。 4)結果 %PC、%ATP:30分の虚血後、PC消費の度合が20℃では約20℃では約60%にとどまっているのに対し、37℃では40%近くまで減少しており、虚血解除後の回復状態も良好であった。ATPに関しても20℃では虚血解除後速やかにATP濃度が上昇していくのに対し、37℃ではその回復が遅れていた。 PC/Pi、ATP/Pi(細胞内ミトコンドリア活性を反映するといわれる):20℃ではともにその回復がはやかった。 5)結論:20℃の超低体温は30分の脳虚血に対し、脳エネルギー代謝面からみて脳保護効果を有している。
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