1993 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血による神経細胞障害と細胞内トロンボキサンA_2に関する研究
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05771054
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
杉田 俊介 久留米大学, 医学部, 助手 (20235881)
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Keywords | トロンボキサンA2 / アラキドン酸カスケード |
Research Abstract |
ラット海馬スライス標本よりCA-1錐体細胞より細胞内記録法を行い、脳虚血溶液負荷(Krebs溶液中のglucoseを当量のNaClに置換し、95%N2+5%CO2で飽和したもの)に対してアラキドン酸カスケードの活性化が神経細胞損傷に関与しているか否かを検討した。5-6分間脳虚血溶液を潅流投与すると、検討ニューロンすべて膜電位は急速に脱分極し不可逆的な細胞膜変性を生じた。この時、Fura-2をもちいた細胞内Ca濃度測定を行うと著名なCa濃度の上昇が観察された。このCa濃度の上昇が細胞膜の燐脂質を分解しアラキドン酸カスケードを活性化させ、神経細胞損傷の一因となっていると考えられる。メチルプレドニゾロンあるいインドメサシンで前処置した標本では脳虚血溶液負荷後normal Krebs液に戻すと膜電位はコントロールのそれには復しなかったが、部分的には回復の兆しが見られた。トロンボキサンA2(TXA2)合成阻害剤であるOKY046あるいはCV4151で前処置した細胞は脳虚血溶液負荷に対して、濃度依存性に細胞膜保護効果を示しre-oxygenation後には、膜は静止電位に復した。これらの薬剤は膜電位、シナプス電位に何ら影響を及ぼさないことからCa influxそのものには関与していないと思われる。さらに、TXA2 antagonistも同様の中枢神経細胞保護効果を有していた。従って、脳虚血時、細胞内にTXA2が過剰に産生されることが神経障害の重要な因子であると推定される。一方、PGI2 analogであるTRK100は細胞膜保護効果は認められなかった。この結果は、日本脳卒中学会、The 3rd Annual conference of the international Associtation for the Study of Traumatic Brain Injury、日本神経科学大会、日本神経外傷研究会にて発表した。
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Research Products
(1 results)