1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05771071
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
淵上 泰敬 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (50243655)
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Keywords | 感覚神経活動電位 / 脊髄症 / 脊髄損傷 / 正中神経 / 尺骨神経 / 腓腹神経 |
Research Abstract |
中枢神経障害時の一次感覚ニューロンの質的評価を目的に、46歳から76歳の頚椎症性脊髄症10例、胸椎後縦靱帯骨化症2例、23歳から83歳の脊髄損傷27例(頚椎部12例、胸椎部15例)において正中神経、尺骨神経、腓腹神経の順行性感覚神経活動電位(sensory nerve action potential,SNAP)を記録した。正中神経においては中指、尺骨神経においては小指の近位指節間関節に刺激電極を付け、中指から15cm、小指から13cm中枢側に関電極を置いた。腓腹神経においては外果部に刺激電極を付け、10cmおよび15cm中枢側に関電極を置いた。不関電極は関電極より2.5cm近位に置き、最大上刺激とした。対照として18歳から86歳の明らかな神経学的所見を認めない健常人23名より同様に順行性SNAPを記録した。振幅の分布は一般に正規分布しないため、mean±2S.D.を正常値とすることができない。Robinsonら(1991)に準じ、raw dataをsquare rootあるいはcube rootで補正し、そのmean±2S.D.を正常値とした。健常人23名から求めた振幅の正常値は、補正後、正中神経で1.9-38.6muV、尺骨神経で3.3-19.0muV、腓腹神経では10cmで10.2-25.6muV、15cmで3.6-17.1muVであった。頚椎症性脊髄症10例、胸椎後縦靱帯骨化症2例において正中神経および腓腹神経のSNAPの振幅は正常範囲内であった。尺骨神経のSNAPは肘部管症候群を合併していた1肢を除いて、すべて正常範囲内であった。頚椎損傷12例中10例20肢における正中神経のSNAPにおいては17肢の振幅は正常であったが、3肢は低振幅であった。頚髄損傷12例中8例16肢における尺骨神経のSNAPにおいては9肢は正常範囲内であったが、7肢は低振幅であった。脊髄損傷27例54肢における腓腹神経のSNAPにおいては17肢の振幅は正常範囲であった。振幅低下例は重度の褥創、糖尿病、下肢の外傷等を合併していた。中枢神経症害例においてSNAPの振幅低下を認める場合は末梢神経障害の合併を考慮する必要がある。
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Research Products
(2 results)