1993 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症モデルラットにおける肥満細胞の動態およびその意義に関する組織化学的研究
Project/Area Number |
05771075
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
谷口 博信 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (40244199)
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Keywords | 肥満細胞 / 骨吸収 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
【目的】 骨吸収病変における肥満細胞の関与を明らかにする目的で、骨吸収誘導操作を施したラットにおける肥満細胞の動態について検討した。 【方法】 4週齢の雌ウイスター系ラット40匹を低カルシウム食飼育群10匹と普通食飼育群30匹に分け、さらに後者を10匹ずつ卵巣摘出術群、左坐骨神経切断群および無処置群に分け飼育した。4週および8週後に屠殺、脛骨を採取し、光顕用脱灰標本を作成、HE染色、トルイジンブルー染色、アルシャン・ブルー二重染色および酸フォスファターゼ染色を施し、肥満細胞と破骨細胞の動態の相違および肥満細胞のサブクラスについて組織化学的に検討した。さらに一部は透過型電顕による観察を行った。 【結果】 低カルシウム食飼育群では、飼育4週目には骨幹端部の骨梁及び皮質骨上に破骨細胞が多数出現し、盛んに骨吸収を行っていた。その骨髄中にはび慢性に肥満細胞が出現していた。8週目には単位骨髄面積当たりの肥満細胞および破骨細胞の数はともに有意に増加していた。骨髄中の肥満細胞はサフラニン陽性の顆粒を有しており、結合織型のサブクラスに入るものと考えられた。また骨髄中の肥満細胞は周囲軟部組織のものに比し、光顕的に細胞内顆粒密度が低かった。電顕ではこれらの肥満細胞はpiecemeal degranulationを呈しており、これは肥満細胞が活性化されとる顆粒の緩徐な放出を行なっていることを示す所見である。さらに肥満細胞の顆粒を有した胞体の一部が隣接した骨芽細胞へ伸び、顆粒の内容物を直接受け渡している所見もみられ、肥満細胞と骨芽細胞の細胞間相互作用が示唆された。 一方、普通食飼育群では破骨細胞が活発に骨吸収しリモデリングが進行している骨幹端部では肥満細胞が比較的多数見られたが、骨幹部では殆ど見られなかった。全経過を通して周囲軟部組織および普通食飼育各群の骨髄中にみられた肥満細胞の数には有意な変化はみられなかった。
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