1993 Fiscal Year Annual Research Report
脊柱靫帯骨化における諸靫帯の骨化過程及び機序の解明
Project/Area Number |
05771090
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
米田 知二 東京医科大学, 医学部, 助手 (40246319)
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Keywords | 脊柱靫帯骨化症 / Zucker fatty rat / アキレス腱基質 / ヒト黄色靫帯 / glycosaminoglycal(GAG) / ヒアルロン酸(HA) / デルマタン硫酸 / コンドロイチン硫酸 |
Research Abstract |
[実験I]脊柱靫帯骨化症の病態解明を目的として、後縦靫帯が骨化する素因を持ったZucker fatty ratを用いてアキレス腱基質のglycosaminoglycal(以下GAG)を定量分析し、病理組織学的所見と対比、検討した。 1。病理組織学的所見 石灰化巣周囲に石灰化前線が存在し、同部に周辺異染性の強い軟骨様細胞が認められた。しかし、成熟した骨形成は認められなかった。 2。生化学的分析 GAG組成比は、石灰化初期にはヒアルロン酸(HA)の増加、デルマタン硫酸(DS)の減少を示し、石灰化の進行と共にHAは減少した。コンドロイチン硫酸(Ch-S)は石灰化と共に増加し、そのうちCh-4SとCh-6Sの相対比は、石灰化初期には増加、以降低下した。以上により、GAGのうち特にHAの増加が未分化間葉系細胞出現、軟骨細胞への分化に関与していることが示唆された。Ch-4Sは石灰化の進行と共に増加したが、相対的には低下しており、今後その役割を更に検討してゆきたい。 [実験II]ヒト黄色靫帯においても加齢・変性・骨化に伴うGAGの変化を生化学的に検索し靫帯骨化の発生進展機序に於けるGAGの役割について検討した。 1。黄色靫帯基質において加齢にてGAG総量は減少する傾向を示したが、靫帯に軟骨様細胞の散在する例及び骨化靫帯ではGAGは有意に増加していた。 2。不飽和二糖含有比は加齢による変化は軽度であったが、軟骨様細胞散在例及び骨化靫帯例ではCh-4S、Ch-6Sが増加し、DSは減少していた。 3。黄色靫帯骨化に於いては何らかの全身性の素因及び局所におけるストレス等の刺激がきっかけとなり、靫帯内に軟骨様細胞が出現し骨化が進展すると考えられ、骨化の前段階に於いて石灰化に適した靫帯の基質が合成されるためDS主体のPGからCh-4S,Ch-6S主体のプロテオグリカンに変化してゆくものと考えられた。
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Research Products
(1 results)