1993 Fiscal Year Annual Research Report
サブスタンスPによる好中球活性酸素生成過程におけるK^+チャネルの役割
Project/Area Number |
05771099
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
二宮 俊憲 関西医科大学, 医学部, 助手 (90172733)
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Keywords | サブスタンスP / 活性酸素 / K^+チャネル / 好球中 |
Research Abstract |
健常人末梢血よりファイコール比重遠心法で分離、調整した好中球浮遊液を用いて実験を行った。実験は、(1)好中球にサブスタンスP(SP)を投与し、活性酸素(O_2^-)産生量、膜電位変化、細胞内Ca^<2+>濃度変化をそれぞれモニターし、これら3種パラメーターの相関関係を検討した。この際、O_2^-産生量はチトクロームC還元法にて550nm/540nmの吸光度差から、膜電位変化は電位感受性色素のDiOC_5を負荷して622/655nmの蛍光量比測定により、細胞内Ca^<2+>濃度変化は指示色素のfura-2 AMを負荷して340/380mnの蛍光量比測定によりそれぞれ測定した。(2)K^+チャネル阻害薬のテトラエチルアンモニウム、アパミンおよびカリブドトキシンを用いて、SP投与に伴う(1)の3種のパラメーターの変化に及ぼす影響を観察し、加えて、細胞外K^+濃度を増大させた脱分極条件下で、SP投与による[Ca^<2+>]i変化およびO_2^-生成反応が抑制されるか否かを観察した。その結果、SP(10-100muM)は好球中において2相性の細胞内Ca^<2+>濃度上昇を伴いO_2^-を産生させた。これらの反応はいずれも細胞膜の過分極変化を伴い、K^+チャネル阻害薬のテトラエチルアンモニウム(10muM),アパミン(1muM)、およびカリブドトキシン(1muM)により有意に抑制された。また、細胞外K^+濃度を増大させた脱分極条件下でも、SP投与による細胞内Ca^<2+>濃度上昇および活性酸素産生反応は有意に抑制された。最近、非興奮性細胞において静止膜電位より負の電位(過分極)で活性化されるCa^<2+>流入機構の存在が注目されていることと、今回の実験結果から、SPはK^+チャネルの開口により膜を過分極させ、その結果、細胞内へのCa^<2+>流入を促進してO_2^-を産生させる可能性が示唆された。
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