1993 Fiscal Year Annual Research Report
ラット潅流肝の糖代謝に及ぼす吸入麻酔薬の効果とその作用機序
Project/Area Number |
05771111
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山川 美樹子 山形大学, 医学部, 助手 (60230330)
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Keywords | 肝潅流 / 代謝性アシドーシス / 吸入麻酔薬 |
Research Abstract |
摂食ラットの潅流肝にイソフルラン、セボフルラン、ハロタン、エンフルラン(各々をI群、S群、H群、E群とする)を投与した時の、潅流液中のbase excess(BE)、乳酸、ピルビン酸、グルコースおよび酸素消費量の変動を同一MAC(1.6MAC)で比較検討した。 BEは経時的に減少し、投与後3時間で対照値に比べI群7.8、S群5.2、H群11.0、E群では10.3mmol/l 減少した。S群は、H群、E群に対して、またI群はH群に対してBEの減少の程度は有意に少なかった。乳酸は経時的に増加し、投与後3時間では対照値に比べ、I群49.7、S群22.7、H群48.8、E群で47.4mg/dl増加し、その程度はS群でI群、H群、E群と比較して有意に少なかった。グルコースも経時的に増加し、投与後3時間で対照値に比べI群56.2、S群35.5、H群77.3、E群では60.7mg/dl増加した。S群はI群、H群、E群と比較して増加の程度は少なかったが有意差はなかった。 各パラメーターでMACを変化させ比較すると、吸入麻酔薬の種類によらずBE、乳酸及びグルコースは吸入麻酔薬の濃度に依存して減少または増加した。 以上より摂食ラットの潅流肝に吸入麻酔薬を投与すると、BE、乳酸、ピルビン酸、グルコースは麻酔薬の種類に拘らず、経時的かつ麻酔薬の濃度に依存して変化することが証明できた。麻酔薬による血糖増加や代謝性アシドーシスの発生の機序について更なる検討が必要であると思われる。
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