1993 Fiscal Year Annual Research Report
冠状動脈スパズムに対する心臓交感神経遮断効果についての基礎的研究
Project/Area Number |
05771112
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水山 和之 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (30241821)
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Keywords | 冠動脈スパズム / 脊椎麻酔 / 硬膜外麻酔 / 心臓交感神経 |
Research Abstract |
目的:ラットでメタコリン誘発性の冠動脈スパズムのモデルを作成し、脊椎麻酔または硬膜外麻酔によって、スパズムの閾値が変化するかについて検討した。 方法:実験IではWistar系ラット11匹、実験IIでは10匹を用いた。ペントバルビタール麻酔下に、実験IではL2/3レベルでくも膜下腔に、実験IIではTh5/6レベルで硬膜外腔に、カニューレを留置した。その後、人工呼吸下に、右内頸動脈からカテーテルを挿入し、先端を冠動脈入口部近位まで進めた。メサコリン2〜8ugを冠動脈入口部に投与し、スパズムを誘発した。くも膜下腔または硬膜外腔に局所麻酔を注入した後、再び誘発試験を行った。有意なST上昇が認められたメサコリンの投与量を、スパズムの閾値とした。 結果:実験Iでは、コントロールにおいて11中8匹でスパズムが誘発された。くも膜下に0.25%ブピバカイン0.1mlを注入したところ、血圧、心拍数共に有意に低下したが、スパズムの閾値は有意に上昇した。実験IIでは、コントロールにおいて10中7匹でスパズムが誘発された。硬膜外腔に2%リドカイン0.1mlを注入したところ、血圧、心拍数共に有意に低下した。スパズムの閾値は有意ではないが、若干増加する傾向があった。 考察:高位脊椎麻酔ではメタコリン誘発性スパズムは抑制され、胸部硬膜外麻酔ではスパズムの閾値は変化しなかった。これは、高位脊椎麻酔の方がより完全に心臓交感神経を遮断し、心筋の酸素受給バランスを改善するためと考えられた。
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