1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05771113
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
荒井 賢一 群馬大学, 医学部・集中治療部, 助手 (00222711)
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Keywords | 腫瘍壊死因子 / エンドトキシン / 腎臓 |
Research Abstract |
<研究目的> 腫瘍壊死因子(TNF)やインターロイキン-1などのサイトカインは、マクロファージをはじめとするリンパ球からエンドトキシンなどの炎症発現物質の刺激により産出されることはすでに知られている。しかし、IN VIVOにおいてはどの臓器がエンドトキシンの刺激により主にTNFを産出しているかは一定の見解が得られていない。この研究ではその臓器を特定できるか否か、さらに特定できた場合におけるその臓器の関与の程度を検討した。 <方法・結果> ラットにエンドトキシン3mg/kg尾静脈よりIVした90分後に門脈(PV)、中心静脈(CV),腎静脈直上下大静脈(IVCPR)、下行大動脈(Ao)の4ヵ所から同時に採血しTNFを測定した。TNFの測定値はそれぞれ332,322,339,318 units/mlであり濃度較差は見られなかった。次に腎動静脈を結紮した後、エンドトキシン静注後同様にTNFを測定した。PV,CV,IVCPR,AoそれぞれのTNF濃度は153、169、137、135であり約半減した。 <考察> この実験では、TNFの濃度較差がPVとCV、CVとAoで見られないことからエンドトキシン刺激においてTNFを肝臓および肺が主に産出しているとは言いがたい。そこでIVCPRにおけるTNFの濃度上昇に注目した。これらの結果から考えてみるとIN VIVOにおいてはエンドトキシン刺激によるTNF産出は主に腎臓が司っていると考えられた。今まで敗血症において腎機能低下は知られていても腎臓そのものが果たす役割は言及されたことはなかった。この実験において初めてそのことを示唆したものと思われる。
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