1993 Fiscal Year Annual Research Report
急性肺障害モデル(敗血症・急性膵炎)におけるリドカインの効果
Project/Area Number |
05771132
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
清成 宜人 神戸大学, 医学部, 助手 (00186355)
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Keywords | 急性肺障害 / 敗血症 / 急性膵炎 / リドカイン |
Research Abstract |
研究計画の如く麻酔人工換気下の日本家兎に膵酵素(ホスホリパーゼA2 1000U/kg/h トリプシン5000U/kg/h)を投与し肺障害モデルを作成しリドカインを2mg/kg/h投与したリドカイン群とリドカインを投与しないコントロール群とに分けた。 1、動脈血液ガス所見はコントロール群では膵酵素投与前値に対し投与3時間以降有意に酸素分圧が低下したが、リドカイン群では低下は少なく有意差はなかった。 2、末梢白血球数は両群共に膵酵素投与とともに大きく減少したがコントロール群の方が著名に減少した。 3、屠殺直前の気道抵抗はリドカイン群がコントロール群より有意に低くまた肺コンプライアンスもリドカイン群がコントロール群より有意に高かった。 4、屠殺後の右肺上葉の乾湿重量比でもリドカイン群の水分含量が少なかった。 5、肺胞洗浄液中の補体、アブミンを測定したが両群間では差異は認められなかった。また好中球数も差異は見られなかった。 6、屠殺後の肺の病理標本では両群ともに肺胞内に広範な出血像が認められたが、コントロール群の方が肺胞構築の破壊が著しかった。以上の結果よりリドカインは膵酵素を静注したウサギノ肺障害に有効な可能性が示唆された。その理由としては当初好中球の肺への集積を抑えることによると予測したが末梢血や肺胞洗浄液中の白血球数に差はなく、リドカインの有効である機序は不明である。今後ケミルミネッセンス等により好中球の活性を測定したい。
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