1993 Fiscal Year Annual Research Report
冠狭窄心における各種beta遮断薬の局所心筋酸素分圧に及ぼす影響
Project/Area Number |
05771137
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木村 英之 徳島大学, 医学部・附属病院, 講師 (30169940)
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Keywords | 虚血心 / 心筋酸素需給平衡 / 超短時間作用性beta遮断薬 |
Research Abstract |
最近わが国で開発されたbeta遮断薬ONO-1101の心血行動態ならびに虚血心酸素需給平衡に及ぼす影響を検討した。 1.心血行動態に及ぼす影響 ペントバルビタール麻酔下の雑種成犬10頭を対象とした。ONO-1101を10,30,100mug/kg/minの速度で順次段階的に静注し、投与中止10(S_4),20(S_5),30(S_6)分後にも計測を行った。 (1)用量依存的な強い陰性変時作用が観察された。(2)血圧には変化がなく、rate-pressure productは減少した。(3)心拍出量は減少したが、左室一回拍出係数は増加し、体血管抵抗は上昇した。左冠動脈回旋枝血流量は減少し、冠血管抵抗は上昇した。(4)投与中止後20〜30分後には大部分のパラメータは対照値に近く回復した。 2.虚血心酸素需給平衡に及ぼす影響 ペントバルビタール麻酔下の雑種成犬9頭を対象とした。血管狭窄器で左冠動脈回旋枝血流量を約20%減少させたのち、ONO-1101を2mug/kg/minの速度で静注した。心筋酸素需給平衡の指標として酸素を電極法による心筋内層酸素分圧値(PtiO_2)を用いた。 (1)冠動脈狭窄により29.0±10.7mmHgから20.2±9.9mmHgへと有意に低下したPtiO_2はONO-1101の投与により15分後27.6±13.2mmHg、30分後30.0±15.4mmHgへと有意に上昇した。(2)PtiO_2の変化は心拍数の変化と有意な負の相関を、LV dp/dt maxの変化と有意な正の相関を示したが、他のパラメータの変化との間には有意な相関をもたなかった。(3)心筋酸素需給平衡の改善は主として心拍数の減少を収縮力の低下にともなう心筋酸素消費量の減少によるものと考えられた。 以上より、急速なbeta受容体遮断が臨床的に望ましい周術期の心筋虚血患者に対してONO-1101の有用性が期待された。
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Research Products
(1 results)