1993 Fiscal Year Annual Research Report
腎移植での接着分子の動態と、抗接着分子抗体を用いた免疫抑制及び拒絶反応診断の研究
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05771171
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金川 匡一 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (20241325)
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Keywords | 腎移植 / 抗ICAM-1抗体 / 急性拒絶反応 / 遊離ICAM-1 |
Research Abstract |
・抗接着分子抗体投与による移植腎生着延長効果 RT1完全不適合のTO(RT1^u)→WKAH(RT1^k),LEJ(RT1j)→WKAHの2つの組み合わせで、(1)抗体非投与,(2)抗ICAM-1抗体(1A29)灌流投与,(3)1A29F(ab′)_2灌流投与,(4)1A29全身投与(1mg/kg,ip.)での腎移植を行った。(各々n=4〜8)各生着日数は、TO→WKAH(1)9.5±1.5日(2)9.3±2.4日(3)9.6±3.6日(4)10.0±4.1日、LEJ→WKAH(1)10.5±1.5日(2)4.9±3.7日(3)6.2±3.2日(4)4.4±1.7日と、いずれも生着延長効果は認めず系統によってはかえって短縮した。組織像はいずれも拒絶腎の所見を呈していたが、LEJ→WKAHの1A29灌流投与で壊死性動脈炎の所見を認め、その血管壁にはIg-M・Ig-Gが沈着していた。今後、抗LFA-1抗体を併用しての生着延長効果を検討する予定である。 ・遊離ICAM-1(sICAM-1)の血中、尿中動態 腎移植患者での血中および尿中sICAM-1レベルをICAM-1 TEST KITを用いたEIA法にて測定した。尿中レベルは尿中Cr.値で補正した。移植後急性拒絶反応(AR)などの合併症のない症例での血中sICAM-1値(ng/ml)は、移植前183.4±56.7,移植後2日180.8±33.1,5日147.1±28.3,7日135.0±28.3,14日112.0±6.5と、徐々に低下し移植後2年以上生着者の125.5±10.8付近におちついてきていた。尿中での補正値は、移植後2日53.5±19.5,5日35.3±11.0,7日26.0±12.5,14日14.7±8.8と、血中と同様徐々に低下し移植後2週間で尿中実測値もほぼ測定限界値となっていた。AR(5例6回)による血中sICAM-1レベルの変化は、AR時にはAR前より有意に上昇し、AR後には下降する傾向であった。AR時の尿中レベルの推移には一定の傾向はみられず、尿ではARを反映する動きはみられなった。血中遊離ICAM-1は、急性拒絶反応を反映しておりそのマーカーとしての可能性も示唆された。
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