1993 Fiscal Year Annual Research Report
尿路平滑筋に対する免疫抑制剤(シクロスポリン・FK506)の作用に関する研究
Project/Area Number |
05771194
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
町田 二郎 熊本大学, 医学部・付属病院, 講師 (10209471)
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Keywords | シクロスポリン / 尿道平滑筋 / 膀胱平滑筋 / フェニレフリン / クロニジン / アセチルコリン / イソプロテレノール |
Research Abstract |
雌性家兎にシクロスポリン10mg/kg/dayを2週間静脈内投与したのち膀胱、尿道を摘出し平滑筋条片を作成し、これを37℃で酸素化したKrebs-Henseleite液を満たした筋浴槽内に懸垂固定し、尿道に対してはphenylephrine,clonidineによる収縮力と、KCI収縮後のacetylcholineによる弛緩反応を、膀胱に対してはacetylcholineによる収縮力と、KCI収縮後のisoproterenolによる弛緩反応を等尺性圧トランスデューサーを介して観察した。 尿道はphenylephrine,clonidinに対しともに10^<-8>モルの底濃度より収縮を始め反応は濃度依存性であり、対照より亢進した収縮反応を認めた。phenylephrineによる最大収縮力はシクロスポリン群が2.87±0.18g,対照群が2.32±0.14gであった。clonidinによる最大収縮力はシクロスポリン群が1.62±0.16g、対照群が0.93±0.10gであった。KCI収縮後のacetylcholineによる弛緩反応は対照と比し有意差がなかった。 膀胱はacetylcholineに対し濃度依存性の収縮反応を認めたもののその収縮力は対照に比し、10^<-8>,3×10^<-8>モルの高濃度でのみ有意に亢進していた。acetylcholineによる最大収縮力はシクロスポリン群が6.74±0.50g,対照群が6.40±0.49gであった。KCI収縮後のisoproterenolに対する反応は10^<-10>モルの低濃度より濃度依存性の弛緩反応が見られ、10^<-7>モルまでは対照に比し亢進した反応が観察されたが最大弛緩率には対照と有意差はなかった。最大弛緩率は77.49±2.98%であった。 以上よりシクロスポリンは尿道のalpha-adrenergic agonistに対する収縮反応を亢進させ、膀胱のbeta-adrenergic agonistに対する弛緩反応を亢進させていることが明らかとなった。このことが尿道内圧を亢進させ腎移植患者の排尿障害の一因となっている可能性として示唆された。
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