1993 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱癌のBCG治療における作用機序の免疫病理学的解析
Project/Area Number |
05771209
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
本田 真一 順天堂大学, 医学部, 助手
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Keywords | 膀胱癌 / BCG / 腫瘍組織内浸潤リンパ球 / gammadeltaT細胞 |
Research Abstract |
1.表在性膀胱癌に対してBCG膀胱内注入療法を行った16症例において、治療前後で経尿道的腫瘍生検を行い検体を得た。これらの検体において、腫瘍組織内浸潤リンパ球の免疫組織染色を行った。染色したリンパ球表面マーカーは、CD3,CD4,CD8,CD19,CD25,gammadelta型T細胞レセプターである。CD3陽性細胞、CD4陽性細胞、およびCD8陽性細胞は、ほとんどの例で治療後には治療前に比べて浸潤細胞数は有意に増加していた。CD19陽性細胞も、治療後に増加する傾向が認められた。CD25陽性細胞は、治療前には3例に認めたのみであったが、治療後には11例に認めた。gammadeltaT細胞は、治療前にはすべての症例で出現していなかったが、治療後には6例で出現していた。 2.それぞれのリンパ球の治療後の出現の有無、あるいは出現細胞数の変動と、治療効果あるいは治療後の再発の有無とを比較検討した。CD3陽性細胞、CD4陽性細胞、およびCD8陽性細胞は、いずれも有効例および再発の無い例において、浸潤細胞数が多い傾向はあったものの、無効例および再発を来した例との間に有意差は認めなかった。CD25陽性細胞の治療後の出現の有無と、治療効果および再発の有無との間には、相関を認めなかった。gammadeltaT細胞が治療後に出現していた症例では、全例が治療効果有効であり、治療後に再発を来していない。 3.治療後に比較的多くの腫瘍を得ることができた3症例において、腫瘍組織内浸潤リンパ球と末梢血リンパ球の表面マーカーを、フローサイトメーターを用いて比較した。その結果、gammadeltaT細胞は末梢血中よりも、腫瘍内にやや高頻度に存在していた。 以上より、表在性膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法には、T細胞が関与している可能性、特に新しい知見としてgammadeltaT細胞の関与が考えられた。
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