1993 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤機能不全における胎盤絨毛細胞のミトコンドリア呼吸活性に関する研究
Project/Area Number |
05771223
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
根岸 広明 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (10241332)
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Keywords | 胎盤機能不全 / ミトコンドリア酸素活性 |
Research Abstract |
ミトコンドリアにおける酸素活性を測定するためのシステム(スターラーがついて、温度を一定に調節できるチャンバーを備えた酸素電極の電圧をレコーダーに取り込み、同時に酸素活性を解析できるシステム)を作成した。 まずこのシステムの性能を調べる目的で、ミトコンドリア膜の分離・抽出が比較的容易なラット心筋においてミトコンドリア膜の分離・抽出を行い、今回作成したシステムにおいて酸素活性を測定し良好な結果が得られた。 将来的にはヒト胎盤組織においてミトコンドリア膜の分離・抽出を行ない酸素活性を測定することにより胎盤機能不全を診断することを目的にしているため、次いで、大量に入手することが容易なヒト胎盤組織においてミトコンドリア膜の分離・抽出を試みている。胎盤組織は組織としては他の組織と比べて脆く、従来のミトコンドリア膜の分離・抽出方法ではミトコンドリア膜が破壊されてしまうために酸素活性の測定が難しいことがわかった。そこで細胞膜の破壊段階であるホモジェナイザーの回数・強度を色々変えることを試みている段階である。 胎盤機能不全をきたす代表的疾患として糖尿病・妊娠中毒症があるが、今回は糖尿病合併妊娠による胎盤機能不全モルモットを作成するためにストレプトゾシンにより人口的に糖尿病を引き起こさせた。ところで、糖尿病合併妊娠では、比較的軽症の状態では胎盤機能不全は引き起こされず、逆に胎児は巨大化することがわかっている、糖尿病が重症になるにつれて胎盤機能不全となり胎児発育は障害される。そこでストレプトゾシン処理をしたモルモットにおいて摘出した胎児の体重を測定し、発育が障害された例における母体の血糖コントロールの程度を検討している段階である。今後胎盤組織のミトコンドリア膜の分離・抽出方法が確立したら、血糖コントロールが悪く胎盤機能不全となた例と正常例において酸素活性を測定し比較検討できるものと予想している。
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